2018 Fiscal Year Research-status Report
複合生物培養法による難培養植物内生放線菌の分離と生育因子の解明
Project/Area Number |
18K05690
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松本 厚子 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (20300759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 琢自 北里大学, 北里生命科学研究所, 特任准教授 (40526216)
稲橋 佑起 北里大学, 感染制御科学府, 特任助教 (70645522)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植物内生放線菌 / 微生物資源 / 共培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌はその二次代謝産物から多数の有用物質が発見され、天然化合物の重要な探索源の一つである。しかし、利用できているのはほんのわずかで分離培養できない難培養微生物が多く存在する。先行研究では未利用資源の開拓を目的に、植物内に多数存在する放線菌を分離し、新属や新種、あるいはそれらの二次代謝産物から新規生理活性物質を見出してきた。にもかかわらず未だに植物内には難培養で未分離の未利用放線菌が多数存在する。そこで、それを分離するために、植物内での複合微生物環境を想定し、実験室で行う純培養ではなく同一植物に存在する細菌群との共培養による放線菌の分離を試みた。 通常の分離法にて植物の根の内生菌を分離しその混合液を加えた寒天を固化後、メンブレンフィルターで仕切り、その上で分離培地とサンプルを加え分離を試みた。しかし、放線菌以外の細菌の生育が促進され分離が困難となったため、植物サンプルに低温の熱処理(60C, 1h)を加えることで効率的な放線菌の分離が可能となったので、本方法により分離を開始した。まず、通常法にて放線菌20株を分離した。それらは16S rRNA 遺伝子から4属17種に分類された。同時に、分離に用いたサンプルの細菌叢を解析し分離株と比較した。分離株20株中17株(85%)は Streptomyces 属放線菌であり、その他に Micromonospora, Dactylosporangium, Rhodococcus 属がそれぞれ1株ずつを占めた。一方、細菌叢解析の結果から放線菌の中でStreptomyces 属の占める割合は22%に過ぎず、Micromonospora が約21%, Dactylosporangium および Rhodococcus 属は各々1%以下であった。現在、残り55%以上を占める放線菌を分離すべく共培養による分離を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分離法の構築に時間を要したが、方法論が確立できたので課題解決に向け分離を開始した。しかし、植物内生放線菌の分離には2-3ヶ月を要するため、まだ分離には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本方法により分離が可能になったので今後改良を加えながら分離対象の試料を増やし分離を実施する。分離に際しては、共培養による生育促進を考慮した複数の培地にて純化する。共培養が生育因子となる場合、あるいは栄養要求性に特徴が見られる等の場合は、その生育因子の解明に取り組む。 分離菌株は、新規微生物の可能性が高いものについては詳細な分類研究を実施し、分類学的位置を明らかにする。また、有用物質の探索源資源として活用するために培養液中に生産される二次代謝産物解析を実施し、有用物質の取得につなげる。
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