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2019 Fiscal Year Research-status Report

両生類の新興病原体「ラナウイルス」はどのように拡散するのか?

Research Project

Project/Area Number 18K05692
Research InstitutionOkayama University of Science

Principal Investigator

宇根 ユミ  岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (40160303)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsラナウイルス / 両生類 / 新興感染症 / 起源
Outline of Annual Research Achievements

2011年頃より、国内野生下両生類においてラナウイルス検出地域の増加ならびに保有率上昇を確認したことから、その機序解明を目的として、国内のラナウイルスの起源、自然界での維持状況ならびに拡散方法について調査・研究を行い、併せて、在来両生類への影響を評価し、生態系保全のための有効な対策を検討することとした。
1)自然界のラナウイルス分布と感染状況の把握:海洋島調査地のアズマヒキガエルにおける保有率は低下傾向にあり、2020年繁殖期八丈島は0%(0/22)であった。また、2011年よりモニター動物としたヌマガエルの保有率が低下し、継続調査地で0%(0/34)になった。一方で、トウキョウダルマガエルの保有率が12.5%と上昇した。よって、自然界での病原体の拡散および維持形態が変化している可能性が示唆された。
2)自然宿主および増幅動物の特定:海洋島の保有率上昇より鳥類の保有率を検索した。野生および飼育下鳥類の糞(164件)と死亡個体(49羽)の臓器計213件を検査した。うち116件からラナウイルスが検出された。PCR産物の塩基配列解析で国内のヌマガエルから検出されたことのある遺伝子型をはじめとする複数の型が確認された。過去の知見から、変温動物を宿主とするラナウイルスは高体温を有する鳥の体内では増殖していないとされていた。今回、世界で初めて鳥類よりラナウイルスを検出した。多くの鳥が肉食性であったため、餌からの移行も含めて、今後鳥類がウイルス拡散・維持にどのような役割を担っているか検討する必要があった。
3)ラナウイルスの両生類への病原性の検討:分離樹立したRCV(10x4.5乗と2.5乗、TCID 50/ml)およびHNV(10x5乗と3乗)を病原性評価モデル作成のためCeratophrys属無尾類に接種し、病原性を検討したが、いずれも発症しなかった。種類によって感受性が異なることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

野生動物を対象とする場合、検体の入手が調査、研究の重要なポイントになる。特に本研究が対象とする両生類は季節性があり、採取の時期が限られている種類も多く、時期を逃すと採取できなくなる。特にヒキガエルは、早春の繁殖期でないと個体数を確保できないため、例年の繁殖期を想定して、採取計画を立てたが、2019年、2020年は暖冬のため、繁殖時期が大幅にずれ、2019年は夏季に採取し、2020年は新型コロナウイルス流行も重なって、出張できなかったため、採取協力者のいる調査地に変更した。

Strategy for Future Research Activity

1)自然界でのラナウイルス維持状況の把握 2018年から2019年にかけて、ラナウイルス保有両生類の種類と保有率が変化した。また、現行のPCR法(Une JMM Case Rep 2014;jmmcr.0.001198)を用いた時に、3つのプライマーセットのうち2セットで遺伝子の増幅がみられた場合を「検出・感染」とするといった条件を満たさないが、単独のプライマーに強く反応する検体が多く観察された。さらに、2014年の全国調査で、年ごと、および季節ごとに出現する遺伝子型に変化があったことから、2019年に検出されたラナウイルスのPCR増幅産物の塩基配列を解析し、遺伝子型を確認し、検出感度を高めるため、および遺伝子型の多様性を確認するためにも広域スペクトラムの検出方法を検討する。
2)鳥類とラナウイルスの関係を明らかにする。鳥類が、ラナウイルスの拡散と自然界での維持に鳥類がどのような役割を果たしているのかを、鳥におけるウイルスの体内分布、ラナウイルスの遺伝子タイプなどを検討して明らかにする。また、鳥類を用いて感染実験を行う。
3)研究成果の公表 2020年度は研究最終年にあたることから、学術雑誌、学術集会などで、研究成果の公表を行う。しかしながら、2019年3月日本獣医病理学専門家協会学術集会(宮崎大)、2020年9月第163回日本獣医学会(山口大)、2020年10月爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会ワークショップがいずれも中止されたあるいは中止が検討されており、成果公表、意見交換や討議の場が失われていることが気がかりであるが、誌上公表に力を注ぐ。

Causes of Carryover

両生類の繁殖期に併せて、採取計画を立てたが、温暖化により繁殖期が大幅にずれ込み、出張しなかった。そのため調査地を変更して個体数を確保したが、予定数より少なかった。また、2020年3月に出張予定であった学術集会が新型コロナウイルス感染症流行のため中止になり出張を取りやめた。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Epidemic nodular facial myxomatous dermatitis in juvenile Cranwell’s horned frogs (Ceratophrys cranwelli).2019

    • Author(s)
      Tamukai K, Sugiyama J, Nagata Y, Tsutomu O, Katayama Y, Mizutani T, Kimura M, Une Y.
    • Journal Title

      Dis Aqua Org

      Volume: 134 Pages: 57-64

    • DOI

      10.3354/dao03358

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] メキシコサンショウウオ(Ambystoma mexicanum)の体腔水腫症の病理学的検索2020

    • Author(s)
      高見義紀、宇根有美
    • Organizer
      日本獣医病理学専門家協会第7回学術集会
  • [Presentation] ボールパイソンPython regiusにおけるニドウイルス感染症の流行2019

    • Author(s)
      宇根有美、三井一鬼、逸見千寿香、藤井ひかる、赤羽良仁、田向健一
    • Organizer
      第162回日本獣医学会学術集会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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