2021 Fiscal Year Research-status Report
Basic researches about the genetic diversity of archaeophytic trees and shrubs in Japan
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18K05694
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
池谷 祐幸 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (10391468)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 観賞植物 / 観賞樹木 / バラ科 / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は江戸時代以前に導入されたとされる本性栽培植物の日本国内における遺伝的変異の解明のため,そうした栽培植物の残存状況の把握をまず目指している。 研究開始時には、江戸時代以前に導入されたとされる木本性の栽培植物の種苗生産を行っている全国各地の業者の訪問調査や、植物園等での栽培植物の調査を計画していたが、コロナの流行により本年度も全く行うことができなかった。一方で、植木生産の業界団体より、加入業者の生産・流通データを取りまとめた膨大な統計資料を昨年度末に借り受け、本年度に複写することができたため、現在その内容を解析中である。 このような調査の遅れを補うため、コロナウイルスの流行が小康状態の時期に、中国四国などの比較的近距離にある植物標本館5館において標本調査を行った。 さらに、本年度に新たに調査の計画に加えたナナカマドの現地調査を行った。本植物は本土各地の夏緑樹林帯帯では広く分布するが、これに加えて兵庫県及び岡山県の瀬戸内海側の低標高地の数か所で野生集団が発見されている。現在の西日本ではナナカマドの植栽は殆ど見られないため、過去の時代の植栽植物の逸出が疑われた。そこで、分布域の再検討を目的として、野外調査及び標本調査を行った結果、中国地方の日本海側では、海岸付近の低標高地でもナナカマドが分布することが確認できた。 さらに、岡山市内の複数地域の住宅地において、古い時代に導入された木本性栽培植物の一般の民家における植栽状況を調査した。この結果、モッコウバラ、ナニワイバラ、カリン及びボケなどは植栽例が多いが、ミカイドウやサンザシなど全く見られない樹種もあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの流行のため、植物園の調査や苗木業者への訪問聞き取り調査が全くできなかった。また、当初計画の最終年度に当たる本年度は海外の植物標本調査も計画していたが、こちらも行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一昨年度に入手した植木の生産・流通に関する業界資料はデータが膨大なため、本年度も引き続き解析を行う。 コロナの状況は改善しつつあるため、植物園や植木業者に関する調査および標本館の植物資料の調査を可能な限りで行う。さらに、シロヤマブキとナナカマドのフィールド調査は、状況が悪い中でも可能なため継続して行う。また、海外の植物標本調査については状況を注視つつ計画する。
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Causes of Carryover |
当初計画で予定していた植物園の調査や苗木業者への訪問聞き取り調査、及び当初計画では最終年度に予定していた海外の植物標本の調査は、コロナウイルスの流行のため全くできなかった。次年度はコロナの状況が改善し国内の調査はある程度行えると見込まれるため、可能な限りの調査を行う。海外の調査も状況を注視しつつ計画を検討する。
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