2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic researches about the genetic diversity of archaeophytic trees and shrubs in Japan
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18K05694
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
池谷 祐幸 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (10391468)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 観賞植物 / 観賞樹木 / バラ科 / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は江戸時代以前に導入されたとされる木本性栽培植物の日本国内における遺伝的変異の解明のため,そうした栽培植物の残存状況の把握をまず目指している。 初年度に行った全国各地の種苗生産業者や植物園の訪問調査では、これらの組織では期待していたデータをあまり持っておらず、さらにその後コロナが流行したため、昨年度に入手した植木生産の業界団体が持つ生産・流通データを用い、バラ科の木本性栽培植物について解析した。その結果、2000年代以降植木の生産量が漸減する中で、地域性樹種や新奇性のある一部の樹種だけが相対的な割合を増やしていることが分かった。古くから栽培される木本性栽培植物では、モッコウバラやシモツケ類は同様の傾向にあるが、中高木性の樹種では非常に生産が減少しているものもあった。これらの結果を論文化して発表した。 また、北海道(2か所)、関東、及び北陸の計4か所の植物標本館5館において標本調査を行った。 さらに、シロヤマブキ(広島県)とナナカマド(鳥取県及び兵庫県)の野生集団の現地調査を行った。 最後に、幕末から明治中期にかけて採集されて海外の植物標本館に所蔵される日本のバラ科の木本性栽培植物標本の調査を行った。訪問したのは英国王立キュー植物園およびフランス国立自然史博物館の2館であるが、米国、ロシア、オランダなどの標本館からの多くの交換標本も所蔵されているため、主として欧米人によりこの時代に採集された植物の凡その把握は可能と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの流行のため、2019年から2021年までは植物園の調査や苗木業者への訪問聞き取り調査がほぼできなかった。しかし、本年度はそれらの調査や海外調査が実行でき、十分ではないがデータを取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ前の初年度に行うことができた植木業者の聞き取り調査のデータを取りまとめる。また、昨年度に行うことができた海外調査のデータも同様に解析して取りまとめる。コロナ禍でも可能な調査として取り組んだシロヤマブキとナナカマドのフィールド調査も、データがまとまりつつあるので、まとめていく。
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Causes of Carryover |
年度の後半になりコロナ禍が治まってきたため、年度末に海外標本調査を行った。この調査は年度をまたいだため、経理業務も年度を越し、次年度の使用額となる。残額については、最終年度に行う調査、データの解析や取りまとめで使用する。
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Research Products
(1 results)