2023 Fiscal Year Annual Research Report
Basic researches about the genetic diversity of archaeophytic trees and shrubs in Japan
Project/Area Number |
18K05694
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
池谷 祐幸 岡山理科大学, 生物地球学部, 教授 (10391468)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 栽培植物 / 観賞樹木 / バラ科 / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでの調査・研究の成果をもとに2編の論文を執筆した。まず、昨年度までに行った、前近代までに導入されたバラ科の観賞用樹木についての植木生産事業者へのアンケート調査と公的植物園における栽培の有無の調査の結果を取りまとめた。その結果,コデマリ,カリンなど11種類では,生産ないし販売の扱いがある事業者がある程度存在した.一方で,マボケ,ワリンゴなど13樹種では,扱っている業者が殆ど存在しなかった.植物園における栽培の有無もこれとほぼ同様の状況を示した. また、京都大学総合博物館で発見した故菊池秋雄博士らが作成した果樹のさく葉標本の内容を調査し報告した。この標本類は国内外の公的機関に保存される果樹遺伝資源の由来に関連するため、今後さらに詳細な研究が必要となると思われる。 さらに、宮崎県高鍋町で現在栽培個体だけが残存するタカナベカイドウを野生絶滅した新種として記載発表した。本種に関する研究は科研費基盤研究(C)264330208において開始しており、日本国内の自生種とは異なることをすでに解明していた。また、本研究課題における植木生産事業者の調査でも本種の栽培・流通は認められなかった。しかし、カイドウ類は中国大陸に多くの種があり、日本へも前近代に複数の種が導入されていることや、日本では九州だけで発見されている中国大陸との共通種がいくつかあるため、既記載種の種内変異である可能性が排除できなかった。そこで、過去に行った米国や中国などでの標本調査に加え、昨年度末から今年度に掛けて行った英国とフランスでの標本調査を行ったが、タカナベカイドウに当たる植物は発見できず、本種は新種であると結論した。さらにこれらの標本調査によりタカナベカイドウと多種の形態的差異を詳細に解析して、記載論文を作成した。
|