2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study on the Feasibility of Woodland Burials as a New Forest Use
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18K05700
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 裕文 北海道大学, 観光学高等研究センター, 准教授 (30552343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 樹木葬 / 墓地 / 森林管理 / 少子高齢化 / 地域計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に、①ドイツの事例調査を進めながら、②研究の前提となっている問題意識、「日本の樹木葬墓地の都市化」を取り巻く状況を墓地側の視点から捉え直すための調査を行った。 ①ドイツの事例調査を進める中で、ドイツでは森林利用型の樹木葬墓地の発展と共に、近年は日本と同様に樹木葬墓地の都市化が進行していることが分かった。そのため、主にその状況を明らかにするための調査を行なった。具体的には、日本が最初の公園墓地のモデルとしたハンブルクのオールスドルフ墓地、ドイツの樹木葬墓地の源流とも言えるミュンヘンの森林墓地において、近年整備された樹木葬墓地について調査を行なった。一方で、ドイツの一般的な林業地を活用した森林利用型の樹木葬墓地とは異なる、バイエリッシェ・ヴァルト国立公園における樹木葬墓地について事例調査を行なった。その結果、ドイツにおいて既に確立されていた森林利用型の樹木葬墓地のモデルも、社会ニーズの多様化に対応する形で幅広い発展を見せている状況を示していた。そのため、日本とドイツの比較研究を行う際の視点を、墓地問題といった文脈から再度捉え直す必要性を示すことにつながった。 ②研究の前提となっている問題意識、「日本の樹木葬墓地の都市化」を取り巻く状況を墓地側の視点から捉え直すため、北海道内の全自治体を対象に、墓地の無縁化や改葬に関する現状把握と、合葬式共同墓(合祀墓)の整備状況を把握するためのアンケート調査を実施した。その結果、「墓じまい」とも表現される墓地の改葬とそれに伴う都市部や合葬式共同墓(合祀墓)への移転が近年加速している状況を明らかにすることができた。このことは、樹木葬墓地の都市化を、日本社会における無縁墳墓の増加と新たな管理方法の模索という墓地問題の視点と関連付け、研究の位置付けを多角的に捉え直すことにつながった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の位置付けの前提となる、日本とドイツの樹木葬墓地を取り巻く社会の現状について、より多面的に捉える必要があると判断したため、新たな調査を追加して行なった。それに伴い、本年度に予定していた調査内容の一部を、次年度に延期して行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に予定していた調査内容である、森林経営としての収益性や、持続的な管理方法に関するドイツの事例調査については、次年度継続して調査を行う。 そのほかの、地域的視点での樹木葬墓地の副次的効果や、国内での社会実験を通したアクションリサーチについては、当初の予定通り準備を進める。
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Causes of Carryover |
研究の位置付けの前提となる、日本とドイツの樹木葬墓地を取り巻く社会の現状について、より多面的に捉える必要があると判断したため、新たな調査を追加して行なった。それに伴い、本年度に予定していた調査内容の一部を、次年度に延期して行うこととした。具体的には、森林経営としての収益性や、持続的な管理方法に関するドイツの事例調査について、次年度継続して調査を行う。
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