2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Feasibility of Woodland Burials as a New Forest Use
Project/Area Number |
18K05700
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 裕文 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (30552343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 樹木葬 / 森林利用 / 少子高齢化 / 多死社会 / 墓地 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、研究目的(4)「日本での森林利用型樹木葬墓地の実効性」に対応する形で、大阪府の公益財団法人が2新たに開設したドイツ型樹木葬墓地についてアクションリサーチを継続した。具体的には、実際に整備され、利用が開始された樹木墓地を再度調査し、今後人々に求められる埋葬形態や管理者が望む管理方法についての意見交換を行い、日本における樹木葬墓地整備の可能性を明らかにすることができた。 研究目的(1)「樹木葬墓地の森林経営としての収益」および(2)「低コストで持続可能な森林管理方法」に対応するドイツにおける追加の事例調査は、新型コロナウィルスの感染状況とフライト料金の高騰のため中止したが、それに代わる持続可能な森林管理・活用の事例研究として、出羽三山神社の羽黒山杉並木を対象とした調査を行った。樹木葬墓地と共通する、森林空間の森林サービス産業としての活用という視点から、利用者のニーズと長期的な管理についての知見を得ることができた。 研究期間全体を通して、ドイツの長伐期施業や公園緑地管理と結びついた樹木葬墓地管理手法や、日本の樹木葬墓地の地域に与える経済効果を明らかにすることができた。また、墓じまいの現状調査を行うことで、日本の墓地問題の本質は遺骨問題にあり、この問題を解決することが、日本の樹木葬墓地に求められる役割であるとの知見が得られた。 樹木葬墓地の日本における実効性という視点で始めた本研究であったが、日本に特有の墓地問題とその解決策としての樹木葬墓地の導入という構図が明確となり、日本型の樹木葬墓地をこうした背景から読みといた上で、どのような今後の改善策がありうるかという視点からの更なる研究の必要性が示唆された。
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