2020 Fiscal Year Research-status Report
公園リノベーション時代の造園技術者に必要な新職能のオーラルヒストリーによる具体化
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18K05710
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
平田 富士男 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (80316041)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公園リノベーション / 公園再整備 / 公園での事業事業 / パークPFI / 造園技術者の職能 / 公文書保存 / 都市公園台帳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、公園リノベーション時代が訪れるなかで、造園技術者の新たな職能を明らかにしていくことを目的としている。 令和元年度までの2年間で公園リノベーションプロジェクト特有の事業フローの構造をチャート化すること、そのフローのなかで、最初に行政担当者が取り組む「民間事業の公募」手続きにおいて現場担当者の意識と公式な指導書(都市公園法、および関係法令、それらの解説書等)の内容のずれ、を明確化した。 これらを受け、令和2年度においては、リノベーション事業の計画検討にあたり、プランナーが実際にどのような業務を行っているのか、を業務発注の仕様書分析から明らかにしようとしたが、それらの公文書の公文書保存のルールによって廃棄されている実態に直面した。 このため、その実態を客観化してその実態に警鐘をならすこと、また、どのような対策を講じれば事業に関する情報が廃棄されずに保存できるのかの提案にかかる研究を行った。前者については、全国の政令指定都市の公文書保存条例等の例規等の分析からどこの市においても多くの資料が5年、あるいは10年で廃棄されて行っていること、また、その実態に現場担当者も危機感を持っていることなどを明らかにした。また、そのような公文書情報の保存のためには、法的に永久保存が義務づけられている文書(都市公園の場合は、都市公園法に規定される「都市公園台帳」)への情報の移転を検討し、その可能性について現場担当者の意見も聞きながら検討した。この結果、台帳の活用について一定の可能性があることが明らかになった。 公文書の廃棄が急速に進みつつある今、これまでの事業の成果をきちんと情報として残していくためには、都市公園台帳の活用も含め早急な対応が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究進捗としては、研究第一年度目中に原著論文「大都市部市街地の都市公園リノベーション事業優良事例から見た事業プロセスの全体構図」がランドスケープ研究82巻5号に掲載された。この成果に基づき、令和元年度は、原著論文「大都市市街地の都市公園リノベーション事業優良事例に見る民間公募要項作成上の重点」がランドスケープ研究83巻5号に掲載された。さらに、第三年度の成果は、「リノベーションへの活用可能性から見た公園計画設計資料の公文書としての保存状況」「リノベーションへの活用を見据えた都市公園台帳の調書記載内容の拡充の方向性」としてランドスケープ研究84巻5号に掲載されることが決まった。以上のように研究成果が着々と論文化されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、過去三カ年で明らかにした公園リノベーションプロジェクトの業務内容をベースにその研究対象を行政側の技術者だけではなく、コンサルタントなど民間のランドスケープ技術者にも広げ、それら関係者と情報交換体制を整備し、その体制のなかで公園リノベーション事業に関するより詳細な情報を交換し、そこでの議論のなかから今後のリノベーション時代にランドスケープ技術者に求められる技術の内容を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、現地調査や現場担当者とのインタビューが限定され、予定していた調査を執行できなかったため。
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