2019 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of environmental constraints and species characteristics of planting species for the reforestation of ex-coal mining sites in Indonesia
Project/Area Number |
18K05719
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
則定 真利子 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 准教授 (00463886)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Acacia mangium / Melaleuca cajuputi / Eucalyptus camaldulensis / 根圏低酸素ストレス / 低pHストレス / Al過剰ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
Acacia mangium (Am)について、根圏低酸素ストレスに対する成長応答に対して根圏pH環境が与える影響を明らかにするために、生物環境調節実験室(自然光、30℃/25℃)において水耕栽培系を用いて、前年度報告と同様の栽培実験を行った。Melaleuca cajuputi (Mc)を比較種として用いた。根圏酸素環境とpHとの組み合わせにより4処理区を設け、12日間栽培した。Amでは、pH5.8条件下で低酸素ストレスにより樹高成長が抑制されたが、pH3条件でその抑制の程度が強まることはなかった。また、pH5.8条件下で低酸素ストレスにより処理後8日目以降に気孔が閉鎖し、光飽和光合成速度が低下したが、pH3条件でその低下の程度が強まることはなかった。根圏低酸素ストレスによる根の機能阻害により吸水が不十分となり、気孔が閉鎖して光合成が低下し、成長が阻害されたと考えられる。好気条件では低pHストレスによる光合成や成長の抑制がなく、この点が、前年度に報告したEucalyptus camaldulensis (Ec)とは異なる。pH3という強酸性条件に対する耐性の違いが、低酸素ストレスによる成長阻害に対する低pHストレスの付加的影響の両種間での違いに表れている可能性がある。Mcでは、pH5.8条件下で成長や光合成が低酸素ストレスにより阻害されることはなく、pH3でも同様であった。これは前年度に報告した実験結果とも一致する。 根圏低酸素ストレスがAl過剰ストレス耐性に与える影響を明らかにするために、McとEcを含む5種について、Al過剰ストレスとして1.5 mMのAl濃度を設定し、4日間の栽培実験を行い、根の伸長速度の初期応答を比較した。7日間の栽培実験の結果と同様に、EcのみでAl過剰ストレスによる根の伸長阻害の程度が根圏低酸素ストレスにより強まった。本種では、根圏低酸素ストレスによるAl過剰ストレス耐性の弱化がストレス負荷初期の段階で生じることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
栽培実験および耐性機構実験についてはほぼ順調に進んでいるが、植栽地での成長と環境因子との関係の解析が現地での調査ができずにおり、進捗していない。
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Strategy for Future Research Activity |
根圏低酸素ストレスと低pHストレスあるいはAl過剰ストレスとの複合ストレスに対する樹木の光合成や成長の応答について、種を増やして調べる。Acacia mangium、Melaleuca cajuputi 、Eucalyptus camaldulensisの根圏低酸素ストレスおよび低pHストレスに対する応答の違いの背景を探るため、両ストレスが根の細胞膜の健全性に与える影響を根からの電解質漏出度を測定することにより評価することを試みたが、一部のストレス処理区における測定値の変動が大きかったため、明確な結果を得られなかった。測定方法の改善などを検討し、今後、再試をする予定である。種間による応答性の違いの背景について、根の細胞膜の健全性への影響などを評価し、探る。 現地での造林木の成長と立地環境との関係の解析に関しては、新型コロナウィルス感染症の問題が収束しない状況にあり、試験地の設定および調査の見通しが現時点で立たないため、実施がかなり難しいと予想される。実施不能の場合、既存の調査結果の収集などで情報が得られれば、代替の解析を試みる。それも難しい場合は、栽培実験の実施により追加的な成果を得ることで代替する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大にともない渡航調査を中止した。状況の推移を見守り、渡航調査が困難な場合は、栽培実験の実施経費に振り替える予定である。
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