2019 Fiscal Year Research-status Report
森林流域の土壌水分時空間変動が硝化速度と硝酸イオン流出に及ぼす影響
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18K05721
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
小田 智基 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (70724855)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大手 信人 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10233199)
磯部 一夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30621833)
熊谷 朝臣 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (50304770)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 森林流域 / 土壌水分 / 硝化 / 硝酸イオン / 渓流水質 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、森林流域内の土壌水分時空間分布が硝酸イオン（NO3-）生成量を決定することを複数の森林流域において確認し、流域内の土壌水分・微生物量（硝化菌量）・NO3-生成の空間分布から流出NO3-濃度を予測する方法を開発することを目的としている。
本年度は東京大学千葉演習林袋山沢、東京農工大学FM大谷山、神奈川県丹沢山地大洞沢の3流域において斜面上部、中部、下部の3地点において降水量、流量、土壌水分の時間変動の計測、渓流水のNO3-濃度の計測を引き続き行った。表層10㎝～30㎝の土壌水分は、袋山沢流域では尾根部で乾燥し谷部にかけて増加するが、他の2流域では斜面全域において高い土壌水分であるという結果が得られた。この森林斜面における土壌水分の時空間変動をもたらす要因を土壌中の水移動予測モデル(HYDRUS-2D)を用いて検討した結果、森林斜面における土壌物理性の空間分布が主に土壌水分の空間分布を決定していることが確認できた。大谷山と丹沢山地の森林斜面では、上部から下部において火山灰土壌が覆っていることが森林斜面全域で高い水分状態を保つ要因であると考えられた。さらに袋山沢の斜面上部の表層10㎝の土壌を多点でサンプリングし、体積含水率とNO3-濃度の関係を調べたところ、体積含水率が30%以下ではほとんどNO3-が検出されなかった。森林斜面の表層土壌におけるNO3-生成量は体積含水率に依存しており、30%程度の閾値を超えるとNO3-濃度が増加することが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、土壌水分、NO3-生成量の空間分布の形成要因を検討し、森林流域におけるNO3-流出予測モデルの構築をすることであった。昨年度からの観測によって得られた各流域斜面での土壌水分の空間分布、土壌物理性の空間分布データと気象、地形データを用いて、土壌中の水移動予測モデル(HYDRUS-2D)による解析を行った結果、土壌特性の空間分布が最も土壌水分形成に寄与していることを確認した。森林斜面における土壌特性とNO3-生成量の関係が明らかになったことで、より詳細なNO3-生成、流出予測モデルを構築することが可能になった。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた土壌水分や土壌特性の空間分布データと土壌水分とNO3-生成量の関係を基に、流域水循環、物質循環モデルを既存のRHESSys modelを改良し、渓流水におけるNO3-濃度を予測する。昨年度から引き続きRHESSys model の開発者であるLawrence Band教授（University of Virginia)と共同で森林流域でのN循環とNO3-流出予測に関して日本の流域への適用について進める予定である。
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| Causes of Carryover |
野外観測用のデータロガーやセンサーのメンテナンスや消耗品代として使用する予定であったが、メンテナンスの必要が無かったため、残額が生じた。
次年度にデータロガー、センサーなどの観測機器のメンテナンスに加え、観測や学会発表の旅費、論文の英文校閲代に使用する予定である。
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