2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating the mechanism of increased interspecific competition between sika deer and Japanese serow due to increased sika deer population
Project/Area Number |
18K05724
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安藤 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (80526880)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニホンジカ / カモシカ / カメラトラップ / GPSテレメトリー / 種間競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年日本各地で、ニホンジカ(以下シカと略)の増加・分布拡大による森林生態系への悪影響が問題となっており、シカと同じく森林に棲む草食動物であるカモシカの生息を脅かすと考えられている。本研究では、シカの採食による植生の衰退が始まっている岐阜大学附属位山演習林(岐阜県下呂市)において、同所的に生息する両種の土地利用状況の共通点・相違点を検討するためのカメラトラップ調査、および両種の行動状況や季節的な土地利用状況を検討するためのGPSテレメトリー調査を実施した。カメラトラップから得られた撮影データを解析した結果、すべての地点で両種が撮影され、両種の生息地利用傾向として先行研究と同様の傾向がみられた。すなわち、シカは秋冬、カモシカは通年でより傾斜の大きな場所を利用しており、この傾向は捕食者回避に由来すると考えられた。また、両種とも冬季は積雪の少ない場所を利用しており、この傾向は餌資源の入手可能性に由来すると考えられた。一方で、シカが調査範囲の西側を、カモシカが東側をよく利用する傾向や、両種が尾根をよく利用する傾向など、先行研究の知見では十分に理解できない傾向も確認された。GPSテレメトリーによる追跡調査から得られた特徴的な結果として、カモシカ雌成獣(S2)は4月中旬以降に単位時間あたりの移動距離が増大していた。またこの個体は月別行動圏面積(95%カーネル)が200haを超える月が確認され、これは既知の一般的な行動圏面積を大幅に上回っていた。また、カモシカ雄成獣2頭(S3、S4)において、調査開始後の同時期にテリトリーの移動が確認され、S4がS3の行動圏を利用し始めると同時に、S3は行動圏をより標高の低い集落沿いへ移動させた。S3は移動直前にくくり罠で誤捕獲された後放獣されており、このようなイベントがカモシカ個体間競争に影響を与えた可能性が考えられた。
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