2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating effects of drought stress on stem respiration in Japanese cedar trees
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18K05736
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
荒木 眞岳 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壁谷 大介 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353650)
阪田 匡司 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スギ / 乾燥 / 樹液流速 / 幹呼吸 / 土壌呼吸 / 炭水化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林の炭素収支において、樹木呼吸は重要なフローである。本研究は、気候変動にともなう乾燥ストレスが、スギ成木の幹の呼吸におよぼす影響を解明することを目的とする。初年度である本年度は、約40年生のスギ人工林内に10m四方の屋根を地上高約4mに建設し、降雨遮断による土壌乾燥処理を開始した(乾燥処理区)。隣接して対照区を設定した。各処理区からスギ成木6個体を対象に、樹液流速と幹肥大成長速度の測定を開始した。また、幹呼吸と土壌呼吸の測定準備を進めるとともに、呼吸基質となる炭水化物濃度を定期的に測定した。 乾燥処理区では、5月末の降雨遮断開始から10cm深さの土壌マトリックポテンシャルが徐々に低下し、7月末には一般的な植物の生長阻害水分点(-0.1MPa)より低い-0.4MPaに達した。台風の影響で一時的に回復したものの8月末には再度-0.4MPa以下となった。一方、対照区の土壌は-0.1MPaを下回ることはなかった。このように、降雨遮断によって土壌表層は比較的強く乾燥したものの、樹液流速には処理区間差が認められなかった。 呼吸測定システムの準備を進め、土壌呼吸については予備実験を行ったうえ、本測定を開始する体制が整った。一方、幹呼吸については、土壌呼吸にくらべると測定準備がやや遅れ気味である。 スギの樹冠上部からシュートを定期的に採取し、呼吸基質となる非構造性炭水化物(デンプンおよび可溶性糖分)の濃度を定量した。その結果、デンプン濃度は4月に最大となった後急激に低下して7月末にほぼ消失し、9月に再び増加した。この季節変動パタンには、気温の高い夏場の呼吸の影響が示唆された。一方、可溶性糖分濃度はデンプン濃度とくらべると安定的な季節変動パタンを示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年度において、降雨遮断のための屋根を設置し、土壌乾燥処理を開始することができた。また、土壌水分条件(各深度のマトリックポテンシャルと体積含水率)、および樹液流速は順調に測定できている。土壌呼吸については本測定を開始する体制が整った。一方、幹呼吸については、購入予定だった幹内CO2濃度を測定するためのCO2センサーが製造中止になったこともあり、土壌呼吸にくらべるとやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目においても降雨遮断による土壌乾燥処理を継続し、土壌水分条件と樹液流速などを測定する。炭水化物濃度を測定するためのサンプリングを継続する。土壌呼吸の本測定を開始する。幹内CO2濃度、および幹表面からのCO2フラックスの測定システムを早期に構築し、幹呼吸の測定を開始する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたCO2センサーが製造中止となった。その後継機は径が太くなってしまったため、他によりよいCO2センサーがないか検討中である。早急に決定し、翌年度に購入予定である。
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Research Products
(3 results)