2018 Fiscal Year Research-status Report
Genetic regionality of native plant species used for slope revegetation works
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18K05745
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
今西 純一 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80378851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下野 嘉子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40469755)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在来種 / 緑化 / 遺伝的多様性 / 生物多様性保全 / 生態系マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,法面緑化に用いられる在来植物の種子の大部分は外国産であり,国内の在来地域集団に対する遺伝的撹乱の問題が指摘されている。2015年には環境省「自然公園における法面緑化指針」が策定され,地域性系統の植物による法面緑化が求められているが,地域性系統の地理的範囲に関しては基本的な考え方が示されているに過ぎない。そこで,本研究は,法面緑化に使用される主要な在来植物を対象とし,日本国内における種内の遺伝的変異の大きさや,その遺伝的変異の地理的分布を把握すること,その遺伝的変異の生じた背景について分子系統解析と生態ニッチモデルを併用して理解すること,以上の結果に基づいて地域性系統の植物の地理的範囲を国土レベルで提示することを目的とした。 本年度は,コマツナギ,メドハギ,ヨモギの核DNAについて,MIG-seq法により,100~数千のSNPの情報を得た後,主座標分析やSTRUCTURE解析等を行うことによって,日本における当該種の地理的な遺伝構造の把握を試みた。その結果,コマツナギやヨモギで比較的明瞭な地理的遺伝構造を見ることができた。メドハギについては,明瞭な地理的遺伝傾向を読取りにくい傾向があったため,検討が必要であった。ヨモギについては,中国産種子,日本由来中国産種子,緑化法面個体との形態や遺伝的差異の検討も行った。その結果,中国産種子は日本自生個体や日本由来中国産種子と形態的および遺伝的に異なることや,解析対象とした日本由来中国産種子は東日本由来の種子に似ていることなどの結果を得ている。コマツナギ,メドハギについては,複数の領域を対象に葉緑体DNAの解析を実施している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コマツナギ,メドハギ,ヨモギについては,MIG-seq法による核DNAの解析によって,日本国内における種内の遺伝的変異の地理的分布を概ね把握することができており,当初の計画に近いペースで研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はイタドリ,コマツナギ,メドハギ,ヨモギ,チガヤを対象に遺伝解析を進め,生態ニッチモデルの構築に着手する。なお,ヤマハギ,ヤシャブシについてもサンプル収集を行う。メドハギはMIG-seq法による再解析が必要か検討する。ヨモギの遺伝解析を進め,中国産ヨモギの別種の可能性について検討するとともに,交雑による遺伝的撹乱のリスク評価のための交配実験を行う。また,チガヤの遺伝解析を行い,日本国内の地理的遺伝構造を明らかにする。
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Causes of Carryover |
MIG-seq法によるメドハギの解析結果の検討に時間を要しているために,次年度使用が生じた。次年度に遺伝解析結果の検討を進め,支出する計画である。
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