2021 Fiscal Year Annual Research Report
Regional variation in nitrogen retention potential of surface soil in Japanese forests
Project/Area Number |
18K05747
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
廣部 宗 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (20363575)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 森林表層土壌 / 潜在窒素保持能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、北海道から沖縄までの19地点・28林分から採取済み鉱質土層表層(0-10cm)の乾燥土壌試料を用いて、物理分画法により粒径53μm以上の粒子状有機物(POM)と粒径53μm未満の鉱物-有機物複合体(MAOM)として存在する有機物を分画・定量し、それらの全炭素・全窒素濃度を測定した。その結果、単位土壌重量当たりのPOMおよびMAOMの炭素・窒素濃度は土壌全体の炭素・窒素濃度と同様に大きな空間的変動を示し、POMおよびMAOMの窒素濃度は平均気温が高い場所で低く、POMおよびMAOMの炭素/窒素比は平均気温が高い場所で高い傾向がみられた。また、純窒素無機化特性におよぼす影響を解析したところ、土壌全体の炭素・窒素濃度と炭素/窒素比の代わりに、POM-NとPOMまたはMAOMの炭素/窒素比を用いると統計モデルを改善できることがわかった。 2019年度以降は、新規の調査対象地(2019年度:岡山県半田山、宮崎県田野および茨城県小川、2020年度はコロナ禍により研究遅延、期間延長した本年度:北海道足寄、京都府上賀茂、岡山県西粟倉および沖縄与那)において採取した鉱質土壌表層(0-10cm)を用いて、実験室培養による純窒素無機化特性と15N同位体希釈法による総窒素無機化特性を測定した。また、15N無添加の乾燥土壌試料と15N添加培養後の乾燥土壌試料を用いて、物理分画法によりPOM+砂とMAOMに分画・定量し、それらの全炭素・全窒素濃度、および15N(atom%)を分析した。また、POM+砂およびMAOMの強熱減量の測定からPOM+砂あるいはMAOMに含まれる鉱物粒子量を算出した。これらの結果から、MAOMとして存在する窒素の量や質と純窒素無機化特性、総窒素無機化特性、あるいは添加した15Nの取り込み割合との関係の解析を進めている。
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