2022 Fiscal Year Annual Research Report
Tree water use under the restriction by snow-integrated analysis and reproduction of forest gas exchange in snowy mountains
Project/Area Number |
18K05748
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮沢 良行 九州大学, キャンパス計画室, 学術推進専門員 (80467943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 清 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10343790)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光合成 / 蒸散 / 気孔コンダクタンス / 樹液流 / 冷温帯 / 積雪 / 通水 |
Outline of Annual Research Achievements |
多雪地に生きる樹木では、開葉時に根や幹が積雪により冷却されることが多い。葉が開き光合成を行う際、同時に発生する蒸散により失われた水が葉に供給される必要があるが、その水を供給する幹や根が冷却されることで、土壌からの吸水や葉への水の輸送が滞ることが過去の研究で知られている。本研究で対象としたミズナラとブナの場合、融雪前に開葉を開始するブナでは、融雪後に開葉するミズナラと比べて、春先またはそれ以降の水利用が制限を受けやすく、蒸散の数値も低ければ大気の乾燥により敏感であると仮説を立てて研究を実施した。また多雪地の試験地においては、幹付近の除雪を実施することで、蒸散の速度や環境応答に違いが生まれるのか、検証を行った。機器の故障などの不具合を解消することで、初めて開葉前からの蒸散の計測に成功した本年度、いずれの種においても蒸散は開葉後の葉面積の増加に伴う蒸散の増加と、秋の大気乾燥の弱化および葉の生理的な衰退に伴う蒸散の低下を示した。蒸散速度とは、この研究で計測した樹液流速度と、樹液の流れる辺材面積の積であることから、樹液流速のみを調べた本研究から蒸散速度の多寡を種間で比較することは難しいが、大気の乾燥への敏感さについては種間、地点間、および処理間で明確な違いがみられなかった。これらの結果は、積雪による幹や根の冷却は、蒸散に大きな影響を及ぼさない、及ぼすにしても開葉直後の極めて短い期間に限られる、ことを示唆している。ブナと水ならでは分布地の積雪深に違いがあることが明らかにされたが、その違いは開葉後の蒸散およびその環境応答の違いに起因している可能性は、この研究では示唆されなかった。
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