2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K05769
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山内 秀文 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (90279513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 貴信 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00279514)
林 知行 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (60370285)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スカーフジョイント / バットジョイント / CLT / 現場施工 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度のモデル実験にて、高い接合効率を得ることができた連結部のテーパー形状について、実大における性能知見の確認と現場接合時の仕事量低減の評価を行った 2000 ×100 ×20 mm(長さ×幅×厚さ, 以下同じ)のスギラミナおよび水性ビニルウレタン樹脂を用い、最終的に約1800 ×600 ×60mmの3層・3plyCLTを作成した。このCLTの1/2長(約900mm)の位置に嵌合による接合部を設けた。嵌合部のテーパーを1/1(テーパー長さ/ラミナ厚さ)、2/1、3/1、4/1に設定し、比較対照として接合の無いものおよびバットジョイントにて嵌合したものも作成した。嵌合部分の接着には空隙充填性の高いものとしてポリウレタン樹脂系接着剤を、接着剤凝集力の高いものとしてエポキシ樹脂系接着剤を選定した。接合後の原板から1800× 100× 60mmの試験体を調整し、スパン1600mm、中央荷重点間距離500mmの4点曲げ試験にて性能評価を行った。 バットジョイントでは嵌合時に締結ベルトなどの外力を使っても相当な労力を必要としたのに対し、嵌合部をテーパー形状としたものについては人力のみで嵌合できた。また嵌合したCLTを壁状に垂直に立てることで試験体重量のみの加力でも接着できることが確認でき、現場接合時の労力が大幅に軽減できることや現場加力の困難な壁形状にも対応できる可能性があることなどが示された。 曲げ試験の結果から、十分な接合を得るためには嵌合部に用いる接着剤に凝集力の高い接着剤を選定する必要があること、4/1のテーパにエポキシ樹脂系接着剤を組合わせることで、モデル実験と同様に無接合試験体とほぼ遜色ない性能を得ることができる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるCLTを比較的小さく製造し、現場では大判のものと同様の性能を得ようということに関し、昨年度に考案しモデル実験にてその有効性が確認されたテーパー形状による接合(スカーフジョイント)について、実大に近い試験体での製造工程の確認、および性能評価を行うことができた。また、実験により得られた結果も、昨年度の結果に準じるものであったこと、接合に使用する接着剤は慎重に選択しなければならないことなどが明らかになっており、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的には2019年度に得られた知見で、テーパー接合を最適化することで、接合部分に凹凸形状を与えない(面内での接合線が1直線に揃う)条件下でも接合性能が得られるという、当初には想定していなかった可能性があることが示された。これを基に、最終年度では面状の大型試験体を作成して評価を行い、凹凸の必要性も含めていくつかのパターン評価を行い、最終的な技術提言に繋げたい。 共同研究者が他機関となる本課題で、最終年度は当初から新型コロナウイルスの影響で物理的な移動が制限されている状況から、大型の製造実験および評価実験については秋以降に集中的に行うものとし、期間前期は大型試験体作成のための要素実験およびこれまでの知見を用いたミュレーション的手法を用いて技術評価を進めることとしたい.
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Causes of Carryover |
共同研究機関および共同研究者が新型コロナウイルスの影響が最初に出た札幌所在・在住ということで、2020年2月以降に共同で行うことを予定していた実験および学会等発表準備に関わる出張旅費および実験関係経費が未執行となった結果、残額が生じた。
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