2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating the influence of sugi heartwood extractives on the taste of barreled sake
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18K05770
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
河村 文郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353655)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 樽酒 / スギ心材抽出成分 / ノルリグナン / sequirin-C / 味覚 / 苦味 / 甘味 / 抗糖化活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度に実施した研究の成果】 酒類に含有されるカテコール化合物の安定性に関する実験の結果、樽酒の味覚に大きい影響を及ぼすsequirin-Cは、他の成分と比較して日本酒による安定化作用が顕著であった。複数のメーカーの日本酒、焼酎及びワイン中でのSequirin-Cの安定性について調べた結果、高い安定性を示したメーカーの日本酒はワインの結果に近く、焼酎中では不安定な傾向を示した。日本酒を使用した抗糖化評価法を確立し、スギ心材抽出物の糖化抑制作用を測定した結果、陽性対照を超える高い活性を示した。樽酒保存における抽出物の影響は、コクを増加させることはなく、スッキリした味覚の印象を保つと共に老化等の健康障害を抑制することが示唆された。さらに、主な糖化抑制作用の寄与成分をSequirin-Cと特定した。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 市販日本酒のアミノ酸を定量分析し、アミノ酸の組成・濃度を明らかにした。この日本酒にスギ心材抽出物を添加して調製した樽酒モデル飲料を室温保存し、経時的にアミノ酸分析を行った結果、対照に対して組成・濃度の差が見られなかった。樽酒モデル飲料と対照の味覚を味覚センサーによって測定した結果、苦味の増加と甘味の減少が確認され、樽酒の味覚を辛口寄りに変化させることが判明した。一方、うま味の変化は少なく、アミノ酸の分析結果を支持する形になった。なお、スギ抽出物単独では苦味のみを示した。スギ心材抽出物が樽酒の味覚の変化へ及ぼす原因になる成分をsequirin-C及びagatharesinolと特定し、特に前者の影響が大きいことを明らかにした。日本酒中でスギ心材抽出物が高い糖化抑制作用を示しスッキリした味覚の印象を保つことを明らかにすると共に主な寄与成分をSequirin-Cと特定した。
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