2020 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the Mechanisms of oligotrophication in Mutsu Bay for sustainable bivalve culture
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18K05776
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
工藤 勲 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (00195455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳村 毅 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (20371536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 基礎生産 / 栄養塩 / ホタテガイ / 海底耕耘 |
Outline of Annual Research Achievements |
1970年代以降、急速に生産量が増加したホタテガイ垂下養殖漁業が行われている青森県陸奥湾で、近年栄養塩濃度が減少する「貧栄養化」が起こっていることが明らかとなった。本研究は、持続的な生物生産活動の維持を脅かしかねない海域の「貧栄養化」のメカニズムを解明し、それらを踏まえた上で貧栄養化の対策を検討し、効果的な方策を提言することを目的として行われてきた。今年度の研究実績として2020年9月に本学附属練習船うしお丸を用いて海洋観測と着底トロール調査による海底耕耘試験を行った。海洋観測によって広域的な栄養塩分布、代表点における基礎生産速度と窒素態栄養塩同化速度の測定を行った。また湾内の栄養塩循環において重要な栄養塩再生が行われている堆積物界面における硝化速度と硝化に関わる微生物群集の定量実験を行った。その結果、夏季において栄養塩は枯渇状態にあり、この時期の基礎生産は再生型栄養塩(アンモニウム塩)を利用した生産が行われていた。また、海底堆積物境界においては9月にアンモニウム塩から硝酸塩への硝化活性が極めて高く、特にアンモニア酸化バクテリアがアンモニア酸化アーキアより活発に活動していたことを明らかにした。また、堆積物に埋没する栄養塩を海底耕耘により海水に回帰させる試験においては栄養塩回帰効果があることが確認され、回帰した量は海水中に存在する溶存態無機窒素の20%に相当する量であると見積もられた。この回帰量は2019年の10%を上回り、時期及び場所による効果の違いはあるものの、「貧栄養化」の対策として海底耕耘は有効な手段であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)