2018 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド代謝経路の「見える化」ーブリ属性決定機構の全容解明を目指すー
Project/Area Number |
18K05778
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 喬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (40749701)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 正俊 東京海洋大学, 学術研究院, 博士研究員 (80447721)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ブリ属 / 初期性分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブリ属の初期性分化メカニズムを解明するため、我々が性決定遺伝子を同定したカンパチを研究対象として、性決定~性分化初期の生殖腺における網羅的遺伝子発現変動解析に取り組んだ。 形態的特徴から未分化と思われる生殖腺と性分化初期の生殖腺を、遺伝的メス(ZW)とオス(ZZ)より摘出し、定法に従ってRNA抽出を行ったのち、RNA-seqに付した。得られた配列データについて、主成分分析、クラスタリング解析、未分化生殖腺のZZ-ZW間遺伝子発現変動解析等を行った結果、未分化生殖腺は遺伝子発現レベルでも性的に未分化であることが確認された。未分化ZZ/ZW、分化期ZZ、分化期ZWの3群比較による遺伝子発現変動解析を行ったところ、注釈付されている全遺伝子の約3割に当たる、11,201遺伝子が有意な発現変動を示していた。これらの発現変動遺伝子(DEGs)をクラスタリング解析によりさらにグループ分けしたところ、分化期ZW群において高発現を示す645遺伝子を同定した。これらのDEGsについてGOエンリッチメント解析を行ったところ、「形態形成」や「細胞接着」等のGOタームがエンリッチされており、該当サンプルの形態学的特徴とよく一致していた。 また、各種ステロイド代謝酵素遺伝子の、未分化期・性分化初期の生殖腺での発現をin situハイブリダイゼーション法により調べた。その結果、未分化生殖腺ではHsd17b1とCyp11a1のみがそれぞれ別の体細胞で発現していた。分化期ZW個体の生殖腺では、互いに異なる3種類の体細胞で、Hsd17b1、Cyp19a1、およびStAR2/Cyp11a1/Cyp17a1/Hsd3b1がそれぞれ発現していた。一方分化期ZZ個体では、2種類の体細胞でHsd17b1、StAR2/Cyp11a1/Cyp17a1/Hsd3b1/Cyp11b/Hsd11b2の発現が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質量分析イメージング用にサンプリングしていた凍結サンプルが、昨年10月の台風に伴う浜松市の大規模停電により使用不可となってしまい、予定していた実験を行えなくなってしまったため。また、質量分析イメージングによるE2の可視化は予想していたよりも難しいことが判明し、研究計画を再考する必要が出てきたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度も質量分析イメージングによるE2の可視化を試みる。加えて、シングルセルRNA-seqにより生殖腺を構成する全細胞の遺伝子発現を追跡することも試みる。
|
Causes of Carryover |
一部、計画に遅れが出たため、助成金の一部を繰り越して翌年度に使用することとした。次年度繰越し金は新たに計画しているシングルセルRNA-seqの実験系立ち上げに用いる予定である。
|
-
[Journal Article] A single nucleotide polymorphism in a steroidogenic enzyme is associated with phenotypic sex in <i>Seriola</i> fishes2019
Author(s)
Takashi Koyama, Masatoshi Nakamoto, Kagayaki Morishima, Ryohei Yamashita, Takefumi Yamashita, Kohei Sasaki, Yosuke Kuruma, Naoki Mizuno, Moe Suzuki, Yoshiharu Okada, Risa Ieda, Tsubasa Uchino, Satoshi Tasumi, Sho Hosoya, Seiichi Uno, Jiro Koyama, Atsushi Toyoda, Kiyoshi Kikuchi, Takashi Sakamoto
-
Journal Title
Current Biology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] ステロイド代謝酵素多型によるブリ属の遺伝的性決定機構2018
Author(s)
小山 喬, 中本 正俊, 森島 輝, 山下 量平, 山下 雄史, 佐々木 皓平, 水野 直樹, 車 遥介, 鈴木 萌, 家田 梨櫻, 内野 翼, 田角 聡志, 細谷 将, 宇野 誠一, 小山 次朗, 豊田 敦, 菊池 潔, 坂本 崇
Organizer
第41回日本分子生物学会年会
Invited
-
[Presentation] Revisiting the steroid theory of sex inducer; Trans-species SNP in a steroidogenic enzyme, <i>Hsd17b1</i>, is associated with sex in <i>Seriola</i> species.2018
Author(s)
Takashi Koyama, Masatoshi Nakamoto, Kagayaki Morishima, Ryohei Yamashita, Takefumi Yamashita, Sasaki Kohei, Naoki Mizuno, Moe Suzuki, Risa Ieda, Tsubasa Uchino, Satoshi Tasumi, Sho Hosoya, Seiichi Uno, Jiro Koyama, Atsushi Toyoda, Takashi Sakamoto, Kiyoshi Kikuchi
Organizer
Eighth International Symposium On Vertebrate Sex Determination
Int'l Joint Research
-
-