2019 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド代謝経路の「見える化」ーブリ属性決定機構の全容解明を目指すー
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18K05778
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 喬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (40749701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 正俊 東京海洋大学, 学術研究院, 博士研究員 (80447721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブリ属 / 初期性分化 / 性決定 / ステロイド / 多検体RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、平成30年度に行ったRNA-seq解析の教訓から、より広範な時間軸で多検体(数百)RNA-seq解析を行うことを目指した。近年のRNA-seq解析はシーケンシングそのものよりも、ライブラリ調整にかかるコストが高い。そこで平成31(令和元)年度はまず、安価にライブラリ調整することができるBulk RNA Barcoding and sequencing (BRB-seq)法の立ち上げを行った。平成30年度にRNA-seq解析に付した3サンプルのtotal RNAを材料に、既報の論文に従ってBRB-seqライブラリ調整とシーケンシングを行った。平成30年度RNA-seqデータとBRB-seqデータとの比較解析の結果、両ライブラリは高い正の相関(ピアソン相関係数0.83~0.84)を示し、BRB-seqが実用に耐えうることが明らかとなった。そこで次に、性的に未分化であることが分かっている孵化後47日から形態的性分化が確認されている孵化後95日まで、継時的にサンプリングした約200個体分の生殖腺由来total RNAよりBRB-seqライブラリ調整を行い、シーケンシングに供した。 現在シーケンスデータの解析途中ではあるが、クラスタリング解析と遺伝子発現変動解析の結果、遺伝子発現レベルで性分化が始まる時期を絞り込めた。また性分化初期サンプルより、これまでに性決定・性分化に重要であることが報告されている遺伝子を含む約100 発現変動遺伝子(DEGs)を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では質量分析イメージングを予定していたが、E2の検出が技術的に困難であることが判明したため、多検体RNA-seqによる性決定期の特定・初期性分化期のDEGs解析に研究計画を変更した。現在までのところ、実験系の立ち上げと解析パイプラインの構築は順調に進んでいるため、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初期性分化期の絞り込みに成功したので、今年度は時期を狭めてさらに細かい経時サンプリングを行い、BRB-seqに供する。また、昨年度に行ったBRB-seqの結果と照合し、BRB-seqの技術的妥当性をさらに検証するとともに、得られたDEGsについて、さらに詳細な解析を進める。
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Causes of Carryover |
ほぼ全額を使用したが、少額の余りが出てしまった。 基金であるため問題ないと判断し、令和2年度に繰り越して使用することとした。
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