• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

Transposition mechanisms of multiple drug resistance genes from plasmids to chromosome among bacteria in the aquaculture environment

Research Project

Project/Area Number 18K05790
Research InstitutionDokkyo Medical University

Principal Investigator

野中 里佐  獨協医科大学, 医学部, 講師 (70363265)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords遺伝子伝達 / 多剤耐性プラスミド / トランスポゾン / 薬剤耐性菌 / チロシンリコンビナーゼ / βラクタマーゼ / ビブリオ属 / 養殖場
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、養殖環境由来多剤耐性菌で見られる多剤耐性プラスミド全長の受容菌染色体上への組み込み機構をアシストするトランスポゾンの多様性と環境細菌における分布を明らかにすることを目的としている。実験的に得られた接合体の全ゲノム情報の解析により、ビブリオ属細菌から大腸菌へ伝達されたプラスミドpSEA2は306,247 bpで7つの耐性遺伝子をコードする多剤耐性プラスミドであることを明らかにした。307個の遺伝子のうち306個は過去に我々が報告した多剤耐性プラスミドpSEA1と共通していたが、pSEA1が受容菌染色体に組み込まれる際に不可欠なトランスポゾンTn6283を欠失していた。一方、pSEA2上に見いだされた2つのインテグラーゼを含む6,832 bpの領域について環状化が確認され、本領域は新規トランスポゾン(仮称Tn62XX)であることが示唆された。Tn62XXがコードする5つの遺伝子のうちインテグラーゼ等3つはTn6283上の遺伝子と相同性を保持していたことから、本トランスポゾンはTn6283同様、プラスミド組み込みアシスト機能を果たしていることが示唆された。また伝達されたpSEA2はpSEA1同様大腸菌ゲノム上の特定の領域に挿入されるが、ターゲット部位は異なることが明らかになった。さらにTn62XXは1コピーのβラクタム薬耐性遺伝子をコードすることを特徴とし、pSEA2が組み込まれた複数の接合体からは2コピー以上のβラクタマーゼが検出されることから、本トランスポゾンは、耐性遺伝子の増幅にも関与していることが示唆された。以上の結果から、ビブリオ属細菌が保有するプラスミドの受容菌染色体への組み込みに重要な役割を果たす新規トランスポゾンの存在が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ドナーから大腸菌レシピエントに伝達されているプラスミドの全塩基配列解析から、本プラスミドの組み込みに重要な役割を果たしているトランスポゾンにはβラクタム薬耐性遺伝子が含まれていることが明らかになり、接合体選択にはそれまで用いていたエリスロマイシンの代わりにアンピシリンを用いた方がよいことが示唆された。再度遺伝子伝達実験を行い、新たな条件で得られた接合体について、パルスフィールドゲル電気泳動とハイブリダイゼーションを組み合わせた染色体上への組み込みの確認や染色体の制限酵素処理とハイブリダイゼーションを組み合わせた挿入部位の確認など昨年度内に終了予定の実験を現在行っているため若干遅れていると判断したが、方法は既に確立しているため問題はないと考えている。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は、①独立した遺伝子伝達実験により得られた複数の接合体について、適切な制限酵素処理と断片上の配列をプローブとしたハイブリダイゼーションを組み合わせることにより、βラクタマーゼ遺伝子数がレシピエント上で増加していることを確認するとともに、コピー数の異なる接合体が得られた場合には最小発育阻止濃度を求め、コピー数とベーターラクタマーゼに対する耐性度合いの関係を明らかにする。
②本プラスミドの受容菌ゲノムへの組み込みが、先に単独で組み込まれたトランスポゾンTn62XXとプラスミド上のTn62XXとの相同性組み替えが関与していることを明らかにするために、Tn62XX領域のみを1コピー有する大腸菌を受容菌とした場合には得られる接合体数が上昇することおよび、相同性組み換えを司るrecA欠損株を受容菌とした場合には接合体が得られないことを確認する。
③環状化しているTn62XXのコピー数とプラスミドが切り出された状態のDNA分子のコピー数をリアルタイムPCRを用いて算出し、前者ともとのプラスミド分子数が一致することおよび後者が検出されないことを示すことにより、copy-out-paste型であることを証明する。
④ドナーの全ゲノム解析から、ゲノム上のTn62XXの挿入部位の配列を明らかにし、プラスミドおよび接合体上の挿入部位との配列比較を行うことにより、本トランスポゾンがコードするインテグラーゼがターゲットとする配列の特徴を明らかにする。
⑤本研究でドナーとして用いている多剤耐性ビブリオ属細菌と同じ環境から分離された多剤耐性菌について、βラクタマーゼ遺伝子の伝達性を確認するとともに、Tn62XXを保有する細菌を特定することにより、本機構を利用している細菌種の多様性を明らかにする。

Causes of Carryover

実験計画がやや遅れており、当初申請した備品をまだ購入していないため。現在、デモ機を借りて購入する機種の検討を進めており、研究の進行状況に応じて必要になった時点で購入する。

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi