2021 Fiscal Year Research-status Report
サケ科魚類の河川流程分布を統合的に説明する環境指標の解明
Project/Area Number |
18K05807
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 健太郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (30373468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 潤一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (80524694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サケ科魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
サケ科魚類の河川流程分布に関する基礎データを得るため、本年度は北海道北斗市を流れる戸切地川および山梨県甲府市を流れる富士川寒沢川において継続してフィールド調査を実施した。各河川において、リーチ毎にサケ科魚類の魚種別の出現頻度または個体数密度を電気ショッカー又は潜水目視法を用いて調べた。戸切地川は2000年代までは、上流域にイワナ、中流域にニジマス、下流域にブラウントラウトと3種の優占種が流程に沿って変わる様子が確認されていたが、その後、徐々にニジマスが上流域において優占するようになり、2021年時点においてはニジマスが全流程において優占するような大きな変化をみせた。在来種であるイワナの減少には外来種との種間競争が関与していることが示唆された一方で、外来種であるニジマスの加入量については、稚魚期の降水量の年変動が関与していることも明らかとなった。富士川寒沢川においては、上流域でのみ優占していたイワナが当初下流域で優占していたアマゴ域でも分布を広げるように変化したことが明らかとなった。これは、下流域で優占するアマゴが砂防堰堤によって上流への分散が阻害されていることが一因と考えられた。これらの魚種で流程分布の年変化が生じた期間、戸切地川および富士川寒沢川の双方において、水温や河川の物理環境に有意な経年変化は認められなかったことから、種間競争がサケ科魚類の流程分布に影響を及ぼしていることが示唆された。このように本年度は、サケ科魚類の河川流程分布の経年変化について興味深い知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたフィールド調査が順調に遂行でき、得られた結果についても分析および論文化が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査を継続して実施するとともに、データ解析と論文化を進める。
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[Journal Article] Occurrence of mature male white-spotted charr (Salvelinus leucomaenis) in spring, an unusual season2022
Author(s)
Ryo Futamura, Kentaro Morita, Koume Araki, Masato Ayumi, Shoji Kumikawa, Yuichi Matsuoka, Atsushi Okuda, Hiroshi Sugiyama, Hiroyuki Takahashi, Taro Takahashi, Jiro Uchida, Osamu Kishida
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Journal Title
Ichthyological Research
Volume: 69
Pages: 194-196
DOI
Peer Reviewed