2022 Fiscal Year Annual Research Report
An integrated environmental index for explaining the longitudinal structuring of stream salmonids
Project/Area Number |
18K05807
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 健太郎 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30373468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 潤一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (80524694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サケ科魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
サケ科魚類の河川流程分布に関する基礎データを得るため、山梨県甲府市を流れる富士川寒沢川において継続してフィールド調査を実施した。さらに、前年度までに北海道のフィールド調査で得られたサケ科魚類の河川流程分布と物理環境に関するデータ解析を行った。河川性サケ科魚類の2種系における流程分布とニッチ分割に関する優れた研究は多くあるが、2種系で観察されたパターンが3種以上の系で成立するかどうかはほとんど知られていない。環境勾配(標高120-450m、最高水温15-26℃)のある北海道の河川30区間で得られた3種のサケ科を含む淡水魚類の物理的環境要因と生息密度の関係を解析した。5種の淡水魚(イワナ、オショロコマ、ヤマメ、ハナカジカ、フクドジョウ)が同所的に広く分布したが、それらの生息密度は環境勾配に沿って変化した。オショロコマは夏期最高水温が低く標高の高い区間で、ヤマメは流速の速い区間で、イワナは適度な流速で水温の高い区間で多く生息することが冗長性分析により明らかとなった。イワナとヤマメの2種系では、イワナはヤマメよりも上流に分布することが知られているが、上流にオショロコマがいる3種系では、ヤマメがイワナよりも上流まで分布することが分析により示された。イワナとヤマメの2種系では、イワナはヤマメに比べて底生動物を利用することが知られているが、底生採餌に適応したオショロコマが存在する3種系では、イワナ-ヤマメ間で陸生昆虫の利用度合いに差はなかった。三つ巴の種間相互作用の結果、2種系とは異なる状態に陥る可能性が示唆された。このように本年度は、サケ科魚類の河川流程分布の3種系について興味深い知見を得ることができた。
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