2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒラメの有眼側特異的色素胞分化および無眼側の分化抑制を制御するメカニズムの解析
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18K05813
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横井 勇人 東北大学, 農学研究科, 助教 (40569729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 東北大学, 農学研究科, 教授 (70344330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒラメ / 左右非対称 / 体色 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒラメやカレイ(異体類)では、変態を経て左右非対称な体色を呈するが、人工種苗では体色の異常が問題となっている。本研究では、左右非対称な色素胞分化の分子メカニズムを解明するために、有眼側特異的な色素胞分化とともに、無眼側における色素胞の分化抑制に着目し、その分子メカニズムの解明を目指して研究を行なっている。解析には、ブラジル産アルテミア(BA)給餌によって生じる白化異常(有眼側の白化)をモデルシステムとし、有眼側で色素胞分化が抑制されるメカニズムを、次世代シーケンサーを用いた遺伝子発現プロファイリングにより解析する。申請者らはこれまでに変態期ヒラメの遺伝子発現プロファイリングによって、左右非対称に発現する遺伝子を網羅的に単離してきた。本研究では、有眼側における色素胞分化と無眼側における分化抑制の解析を通して、異体類の左右非対称な体色形成の分子メカニズムを明らかにする。 本年度は、実験群のBA給餌群と対照群の米国ユタ州ソルトレイク産アルテミア(UT)給餌群についてサンプルを調整し、HiSeq2000によるRNA-seqトランスクリプトーム解析により、BA給餌による生じる有眼側白化に関与する遺伝子群の単離を進めた。 また、正常個体の変態期において、有眼側における成体型色素胞分化との関連が示唆される遺伝子について、モデル生物を用いた解析をスタートした。メダカおよびゼブラフィッシュのオーソログを単離し、色素胞分化時における発現を解析し、メダカの方が遺伝子発現がはっきりしていることを確認した。このためこれ以降の解析ではメダカをモデルとすることとした。現在はCRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を応用し、当該遺伝子の変異体の作成や、GFPノックインによる遺伝子発現の追跡システムの構築を目指して実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間の研究プロジェクトで、ヒラメの左右非対称な色素胞分化について、正常の変態とブラジル産アルテミア給餌により生じる有眼側白化をモデルとして、色素胞分化に関与する遺伝子の解析を目指している。初年度は、計画していたブラジル産アルテミアとのRNA-seq解析のほか、正常の変態において、有眼側特異的な色素胞分化に関与する遺伝子の解析について、モデル生物メダカを用いた解析に着手し、変異体作出についても順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒラメ変態期の有眼側特異的な色素胞分化に関与する遺伝子について、メダカをモデルとした機能解析実験を当初の計画に従って進める予定である。ヒラメの正常飼育個体の変態期における左右非対称な色素胞分化に関与する遺伝子群と、ブラジル産アルテミア給餌により生じる有眼側白化に関与する遺伝子群の相関を網羅的に解析し、ブラジル産アルテミア給餌による白化の分子メカニズムを解析する。遺伝学的解析には時間を要するので、モデル生物を用いたCRISPRの実験は早めに着手する計画である。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに予算執行した。一部の試薬購入とRNA-seq解析について、実験魚の供給とサンプル調整の都合により次年度に購入・実施することとした。
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Research Products
(12 results)