2018 Fiscal Year Research-status Report
オスイルカの加齢に伴う繁殖機能の変化の解明~オスに更年期はあるのか?
Project/Area Number |
18K05817
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
船坂 徳子 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (50616175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イルカ / 加齢 / テストステロン / 精巣 / 精子 |
Outline of Annual Research Achievements |
群れ社会で生活する鯨類は平均寿命40~60年で,種によってはメスが繁殖機能を失った後も長く生存し群れの維持に貢献する.しかし,オスの繁殖可能期間や高齢オスの群れの中での役割は明らかにされていない.本研究では,加齢とともにオスの精子形成にどのような変化がおき,それが精子の形態や受精能にどのような変化をもたらすのかを調べることで,未解明であった高齢オス鯨類の繁殖生理を明らかにすることを目的とする. 平成30年度は,コビレゴンドウ,ハナゴンドウ,カズハゴンドウ,ハンドウイルカ,スジイルカ,スナメリを対象として試料採取を行った.成熟個体および未成熟個体の精巣試料を採取し,組織や細胞の加齢性変化を明らかにするための数種の組織学的な特殊染色を実施した.また,平成31年度以降に実施予定の飼育個体を対象とした実験について,共同研究者と実施時期や調査内容等の打ち合わせを行った.ヒトの男性更年期の診断に有用であるとされている遊離テストステロン濃度測定を測定するために,若齢期からの試料が保存されている高齢個体の血液試料を入手するための手配を進めた. 繁殖期のピークでない時期に採取した精巣組織は,精上皮がはがれて薄くなっているものもあった.精子形成能の加齢性変化を調べるにあたり,試料の採取時期が問題になる可能性もあるため,ピーク時期の試料を用いて精巣における精子形成の特徴をあらかじめ種ごとに調べる必要があると考え,解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り,オスの生殖腺試料の採取ができ,平成31年度以降に実施予定の飼育個体を対象とした実験の手配も進めている.生殖腺試料については,高齢個体を含むより多くの試料を収集する必要があるため次年度も引き続き実施するが,全体としておおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き,水族館を含む関連機関や共同研究者との連携を密にし,精力的にデータを収集したいと考えている.
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Causes of Carryover |
平成30年度に実施予定であった一部の分析が年度をまたいでしまったため.平成31年度には,まずはこの分析から実施し,計画通りの研究遂行に努める.
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