2018 Fiscal Year Research-status Report
魚由来線維芽細胞のコラーゲン産生を促進するオリーブ葉成分の同定と作用機構の解明
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18K05821
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小川 雅廣 香川大学, 農学部, 教授 (10398034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金久保 光央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (70286764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コラーゲン / 線維芽細胞 / オリーブ葉 / ポリフェノール / オリーブハマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、線維芽細胞のコラーゲンを増やすオリーブ葉の成分の特定と、その成分が線維芽細胞にいかに作用してコラーゲンを増やすのかを解明することである。初年度は、【I】金魚鱗線維芽細胞GAKSで認められたコラーゲン増加活性が、他の線維芽細胞でも同様に認められるのか、また【II】コラーゲンを増やす成分を特定するために、逆相カラムを使ってオリーブ葉成分を分画して、各画分のコラーゲン増加活性を調べた。 【I】については、GAKSの他に、ヒト胎児由来の線維芽細胞KMST-6(RCB1955)とヒト皮膚由来ASF-4-1(IFO50418)について調べた。5ppmのオリーブ葉抽出物は、GAKSのコラーゲン前駆体量を約1.5倍に、コラーゲン線維量を約2倍に増加させたのに対して、KMST-6ではコラーゲン前駆体量を約4倍、コラーゲン線維量を約6倍に増加させることが分かった。ASF-4-1については、5ppmのオリーブ葉抽出物はコラーゲン(前駆体量)の増加を引き起こさなかった、10ppmまで濃度を上げると、コラーゲン(前駆体量)の増加が認められたが、増加率はわずか6%でKMST-6と比べかなり低かった。 【II】については、オリーブ葉抽出物を固層抽出カートリッジにかけて、アセトニトリル濃度を変えて段階的に成分を溶出させた。オリーブ葉成分のほとんどの成分は、アセトニトリル濃度が65%から86%までで溶出された。アセトニトリル濃度75%画分と86%画分について、コラーゲン増加活性を調べたところ、75%画分では1.4倍に増加、86%画分では1.35倍に増加した(注釈:活性にはGAKS細胞を使用)。さらに、75%画分と86%画分をHPLC分析したところ、75%画分と86%画分の主要成分は異なることが分かった。以上より、オリーブ葉にはコラーゲンを増やす成分が複数含まれていることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究計画は、上述の実績報告書に示した通り【I】の一部において予想外の結果がでたものの、ほとんど計画通り実施した。予想外の結果とは、すなわちASF-4-1細胞においては予想外にコラーゲン増加活性が低かったことである。ASF-4-1以外のヒト皮膚由来線維芽細胞を入手して、コラーゲン増加活性を調べていく予定である。このこと以外についてはおおむね計画が順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況にも記載したが、ASF-4-1以外のヒト皮膚由来線維芽細胞を入手して、オリーブ葉抽出物のコラーゲン増加活性を測定していくことで、オリーブ葉抽出物のコラーゲン増加活性が、金魚鱗以外の動物・組織由来線維芽細胞でも起こる現象であるのかを明らかにする。コラーゲン増加活性をもつオリーブ葉成分の特定については、75%画分の主要成分と86%画分の主要成分を大量に分取して、コラーゲン分解活性を調べるとともに、LC-MSやNMRを使って構造を特定する。また、【III】のコラーゲン増加メカニズムについても、タンパク質化学的手法やmRNA量の定量などにより調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度の使用額が予定よりも低かったのは、予想外の結果が出てしまったためである。予想外の結果が真実なのか確かめるために、次年度、新規に細胞を購入して実験を行う予定であり、そのために平成30年度の余剰金を使用する予定である。
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