2021 Fiscal Year Research-status Report
魚由来線維芽細胞のコラーゲン産生を促進するオリーブ葉成分の同定と作用機構の解明
Project/Area Number |
18K05821
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小川 雅廣 香川大学, 農学部, 教授 (10398034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金久保 光央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (70286764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コラーゲン / オリーブ葉 / ポリフェノール / オリーブハマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、線維芽細胞のコラーゲンを増やすオリーブ葉成分の特定と、その成分が線維芽細胞にいかに作用してコラーゲンを増やすのか、そのメカニズムを解明することである。実験計画【Ⅰ】~【Ⅲ】のうち、昨年度は【Ⅲ】においてオリーブ葉抽出物により細胞内のゲルタチオン(GSH)が増えた要因を明らかにした。今年度は、実験計画【Ⅱ】において、精製したポリフェノール(Oleuropein)を線維芽細胞(KMST-6)に添加してコラーゲンが増えることを確認したが、他のポリフェノール成分については、コラーゲン増加試験を行うことができなかった。今後は、Oleuropein以外のポリフェノールについても、コラーゲンが増えるか確認していく。 実験計画【Ⅲ】のコラーゲン増加メカニズムについて、コラーゲンの発現に関わる細胞内タンパク質(HSP47)の発現をウエスタンブロッティングで調べたが、HSP47については一昨年度の測定結果では発現量が増える傾向はみられたものの、今年度の実施では傾向がみられなかた。HSP47の発現量については繰り返し実験を行って、コラーゲン発現への影響の有無を確定する。 翻訳されたコラーゲンポリペプチド鎖のリシン残基は細胞内で水酸化される。これにより、発現したコラーゲン構造は安定化される。このリシン残基の水酸化にリジン水酸化酵素(PLOD1)の発現を調べたが、この抗体は細胞のタンパク質と予想される分子量で交差しなかった。 今年度までの結果をまとめると、オリーブ葉のポリフェノール成分によって細胞内のGSHが増え、それに伴いASC(アスコルビン酸)も増える。このASCが増えたことが、コラーゲン量の増加に寄与していることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 【Ⅰ】のオリーブ葉抽出物処理によってコラーゲンを増やしやすい細胞(GAKSとKMST-6)の選定は、一昨年度ですでに終えている。 【Ⅱ】では、「精製したOleuropein、Luteolin-7-glucoside、VerbascosideをKMST-6に添加し、コラーゲン増加活性を調べ、線維芽細胞のコラーゲンを増やすオリーブ葉成分を決定する」予定であったが、コロナの影響で一部しか実施できなかった。進捗は遅れている。残りは次年度に行う予定である。 【Ⅲ】のコラーゲン増加メカニズムの解析については手がかりをつかむことができたが、全貌を明らかにするまでに至っていない。進捗は少し遅れている。次年度、より精度の高い実験を実施し、コラーゲン増加メカニズムを明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
【Ⅱ】では、精製したLuteolin-7-glucoside、Verbascosideを線維芽細胞(KMST-6)に添加し、コラーゲン増加活性を調べ、KMST-6のコラーゲンを増やすオリーブ葉成分を決定する。【Ⅲ】のコラーゲン増加メカニズムの解明については、線維芽細胞内で増やすのに関わる細胞内タンパク質の発現量の解析を高い精度で実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度も、昨年度に引き続き、コロナの影響で研究室への出入が制限され、十分な実験時間を確保することができなかった。そのために使用額が生じた。
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