2018 Fiscal Year Research-status Report
Why do tasty diets promote good growth?
Project/Area Number |
18K05822
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
益本 俊郎 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (10238917)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 味覚刺激 / 嗅覚刺激 / 養魚 / 低魚粉 / 消化機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在世界の魚類養殖では、魚粉原料魚の資源量枯渇への懸念とヒト用食料資源との競合といった倫理的問題から、飼料に占める魚粉量を減らして植物原料を代わりに使った、低魚粉高植物飼料が求められている。しかしこのような餌では魚の成育が劣ることが問題となっている。本研究ではその原因として、低魚粉飼料には養魚の摂餌を刺激する味や匂いが乏しく、そのため餌が消化管に到達する前に味や匂い刺激によって開始する消化活動(脳相消化)が十分でないことにあると考え、魚類において知見が不足している脳相消化の調節機構を明らかにすることを目的に行なっている。 本年度はまず、魚粉飼料に比べて味や匂いが劣る低魚粉飼料に、摂餌刺激物質を添加することで膵臓消化酵素のトリプシンとリパーゼの分泌が有意に上昇したことから、味や匂いが消化機能を増進することを明らかにできた。次に嗅覚刺激による興奮を個体レベルで求めるため、既知の市販摂餌刺激物質を飼育水に放ち、刺激物質の種類や濃度の違いによる遊泳行動の活発になる度合いを酸素消費量の増加から定量的に示すことができた。さらにブリ稚魚に対して嗅覚刺激のみ、あるいは嗅覚刺激と味覚刺激に対する、胃の応答(消化液量、消化液pH、胃の弛緩程度)について調べた。その結果、嗅覚刺激だけだと全ての項目において有意な変化はなかったが、餌を摂取した直後では胃のpHが有意に低下し、胃酸の分泌が確認された。 以上のことから、嗅覚刺激のみでは興奮を促して摂餌量を増加させるきっかけとはなるが、胃における消化機能の亢進には作用せず、口腔から食道に対する味覚刺激が胃での消化を促進することが判明した。今後は味覚刺激に重点をおいて研究を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
味覚および嗅覚刺激に対する消化酵素の分泌や酸素消費量の増加など養魚の応答については概ね計画通りに遂行できたが、このような応答に結びつく脳内の神経伝達物質の測定までは至らなかった。一方次年度に実施予定だった低魚粉飼料に対する影響についてはすでに着手することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から消化機能に対しては嗅覚刺激より味覚刺激の重要性が明らかとなったので、今後は口腔から食道における味覚刺激に着目して消化機能への影響を調べていく。また味覚および嗅覚刺激による消化器への神経伝達についても引き続き調べる。
|
Causes of Carryover |
本年度実施できなかった測定項目についての消耗品を次年度に購入して実験を遂行するため。
|
Research Products
(1 results)