2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of germ cell transplantation method into the sterile gonads of adult fish.
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18K05826
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹内 裕 金沢大学, 生命理工学系, 教授 (70418680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生殖細胞 / 移植 / 三倍体 / 雑種不稔 / 海産魚 / 卵 / 精子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニベ×シログチ雑種は生殖細胞欠損型の不妊性を示すため、海産魚の代理親魚技法における有用な宿主として期待されている。しかし、当雑種の生殖腺は精巣様に分化するため、これらを宿主としてドナー由来卵が生産された例は無い。本年度は、不妊化雑種における卵巣分化誘導、さらに、卵巣様不妊化生殖腺によるドナー由来卵の生産について調べた。ニベ卵にシログチ精子を媒精後、低温刺激による三倍体化処理を行った。雑種三倍体と判定された個体の生殖腺組織観察およびcDNAを用いたRTPCRを行い、生殖腺の形態、性特異的マーカーの発現様式を調べた。続いて、生殖細胞移植試験を行ったところ、雌雄各1尾の宿主がGFP陽性を示す配偶子を生産し、それらのF1世代仔魚は全てGFP陽性を示すドナー由来子孫であることが確認された。以上により、ニベ×シログチ雑種を三倍体化することで、生殖細胞を欠損した卵巣様生殖腺の分化が誘導されること、卵巣様生殖腺への生殖細胞移植により機能的な卵生産が可能であることが示された。以上の研究成果は、生殖細胞欠損型の不妊魚の生殖腺を卵巣へ分化させることが可能で、かつ、ドナー生殖細胞に由来する機能的な卵生産が可能あることを示している。また、卵巣内へ生殖細胞を直接移植することで、卵生産を可能にした魚類における2例目(海産魚では初)の報告である。また、R1年度途中に、ドナー魚に対して、アルキル化剤(抗がん剤)を注入すると生殖腺内から生殖幹細胞以外の生殖細胞が死滅する可能性が示された。これにより、ドナー細胞中に生殖幹細胞のみを選抜できれば現在の課題である移植成功率の改善につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の所属機関変更に伴う設備移転等により研究ができない期間が生じたが、その期間を、論文執筆および論文投稿に充てることで、順調に成果発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ドナー卵原細胞の移植成功率を上げるための方策として、薬剤を用いたドナー卵原細胞の濃縮を行う予定である。
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Research Products
(7 results)