2020 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism of fish carbon dioxide anaesthesia to alleviate pain
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18K05830
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松原 創 金沢大学, 生命理工学系, 教授 (50459715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 研一 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (20426315) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 魚類麻酔 / 炭酸麻酔作用機序 / ストレス可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度である令和二年度は、背地適応魚ヒラメをモデルとし、炭酸、2-フェノキシエタノールそして水産承認麻酔であるオイゲノールを含むFA100をもちいて、昨年度確立した電解質により全ての実験個体へ均一のストレスを負荷できる実験系での麻酔個体の血中グルコース・L-乳酸量・コルチゾルを測定、ひいて脳、脳下垂体そして腎臓の各種ストレス関連遺伝子を定量、脳と脳下垂体を次世代シークエンサー解析に供した。昨年度確立したストレスの可視化によると、炭酸は麻酔前後で体表の変化は認められなかった。いっぽう、他の区では体色の黒化が進行した。そこで、体色変化に関与する脳(視床下部)のメラニン凝集ホルモン(mch)、メラニン 5 型受容体(mc5r)そして脳下垂体のプロオピオメラノコルチン(pomc)の発現に着目したところ、炭酸区におけるmc5r とpomc 発現量は他の区に比べ有意に低く、mch発現量は低い傾向を示した。つまり、脳の活動は麻酔前と変化していないことが推察された。他方、血中グルコース・L-乳酸量・コルチゾル量の変化は各区で差異は認められなかった。このことから、炭酸は黒化に進行する前に麻酔状態となっており、脳の活動が即座に停止し、ストレスがほとんどかかっていないことが推測された。 本研究では、1)電解質により全ての実験個体へ均一のストレスを負荷できる実験系を確立、2)ストレスの可視化、数値化を成し遂げた。また、炭酸が現存する魚類麻酔剤の中で、最もストレスを軽減している可能性を強く示唆した。なお、現在、各麻酔剤間で比較した次世代シークエンサーのデーターを解析し、キーとなる遺伝子の絞り込みをおこなっている。
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