2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of the techniques for production of genome editing gametes with in vitro genome editing of germ line stem cells and surrogate broodstock technology
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18K05836
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
吉川 廣幸 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 助教 (40733936)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トラフグ / 代理親魚 / ゲノム編集 / トランスフェクション / 生殖幹細胞 / クサフグ / 借り腹 / CRISPR/Cas9 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、in vitro(生体外)での生殖幹細胞に対するゲノム編集ツール導入技術を開発し、これら編集ツール導入細胞を直ちに代理親とする小型近縁種へと移植することによる代理親体内での短期間かつ小飼育スペースなゲノム編集配偶子生産法の確立を目指している。本年度は、①前年度までに明らかにしたCRISPR/Cas9システムのゲノム編集ツール導入手法により処理されたトラフグ生殖細胞が、宿主とするクサフグ生殖腺内へ生着可能かを移植実験により検証した。また、②ゲノム編集配偶子を効率的に宿主から生産可能にするため、宿主の生殖細胞欠損誘導技術の開発を行った。 ①黒色色素合成関連遺伝子であるslc45a2を標的として設計したcrRNA、 tracrRNAおよびCas9タンパク質により形成されるRNP複合体をエレクトロポレーション(EP)によりトラフグ精巣細胞へと導入した後、クサフグ仔魚腹腔内へと移植した。移植一か月後のクサフグ宿主を解剖して観察したところ、生殖腺内に移植した細胞が取り込まれていることが確認され、EP処理細胞であっても宿主生殖腺への生着能力が失われていないことが確認された。 ②生殖細胞の生存に必須であるdead end遺伝子の翻訳阻害により、不妊宿主の作出が可能か検討した。dead end遺伝子に対するアンチセンスモルフォリノオリゴ(AMO)をクサフグ受精卵へと顕微注入したところ、これらAMO処理個体は生殖細胞を欠損して発生した。さらに、AMO処理個体へとトラフグ生殖細胞を移植したところ、成熟した宿主から、クサフグの内在性配偶子を伴わないトラフグ配偶子の効率的生産が可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究を通し、エレクトロポレーション(EP)によりゲノム編集ツールを導入したトラフグ細胞を宿主とするクサフグへと移植し、EP処理細胞であっても宿主生殖腺へ生着可能であることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ゲノム編集ツールを導入した生殖細胞を移植した宿主から、ドナー生殖細胞に由来する変異導入された配偶子の生産が可能であるか交配試験等を通して検証していく。
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Causes of Carryover |
計画当初はエレクトロポレーターの購入を予定していたものの、機器デモを通して最適と判断された機種が予定金額よりも高額であったため、機器購入を断念した。このため他機関所有の機器を借りることにより本研究を進めることとなり、それに伴う出張費用、消耗品費用や補助員の賃金等に充てていくこととした。
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