2021 Fiscal Year Research-status Report
Supply of infrastructural services of agricultural production by using incentive mechanism
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18K05839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 灌漑 / インフラサービス / 生産効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、農業インフラサービスとしてインドネシアの灌漑を取り上げ、レランとスワクロラという灌漑施設の維持管理制度の違いについて明らかにした。今年度は灌漑の効果を定量的に明らかにした。灌漑施設や維持管理に対する投資の経済効果が大きいほど、農民による灌漑施設を維持管理するインセンティブが高まると考えられる。すなわち、農民は灌漑システムへの投資効果を引き出し、自身の農業所得の向上を目的に、よりよい維持管理制度を構築に向けて動き出す。灌漑が農業生産に及ぼす影響を定量的に分析しておくことは、農民の集合行為や維持管理のルールや制度を分析する上での大前提となる。本研究では、インドネシア稲作のセンサスデータ(SPD2014)を利用し、灌漑の効果を明らかにした。2013年10月から次年度の1月までの稲作作季においてコブダグラス型フロンティア生産関数を計測した。被説明変数を稲収穫量とし、主たる説明変数を農地、労働、種子、肥料、農薬、資本、4輪トラクターダミー、耕運機ダミー、畜力ダミー、経営主の年齢、性別、教育水準、品種ダミー、地域ダミーとした。灌漑利用について、バリとカリマンタンは対照的な導入率を示した。バリでは、この地域固有の水利組織であるスバックが棚田を管理しており、ほとんどの水田で灌漑が普及していた。カリマンタンはもともと陸稲の割合が高い地域であったが、2016年以降、水田面積が増加傾向にあり、灌漑の整備水準は低い。稲作の主要地域であるジャワにおいては、他の地域に比べて単収が高いものの、灌漑の普及は半分にとどまっていた。これは、フロンティア生産関数の計測対象を雨季に絞っていることが影響している可能性がある。フロンティア生産関数の計測結果から、灌漑は収量増加に寄与していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響により計画していた農村調査を実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にしたがって、可能であるならば農村調査を実施する。
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Causes of Carryover |
インドネシアで予定していた調査がCOVID-19により不可能となったため。次年度の農村調査に充当する。
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Research Products
(2 results)