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2019 Fiscal Year Research-status Report

アフリカの灌漑稲作地域のコミュニティによる持続的な水利運営の実態解明と普及の試み

Research Project

Project/Area Number 18K05845
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

山根 裕子  名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 研究員 (70528992)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords投稿論文 / レボルビングファンド / 農民組織 / 横領 / 逮捕 / 制裁 / 自己資金
Outline of Annual Research Achievements

昨年度は主にこれまで得てきたデータを分析し、投稿論文の執筆に励むことに費やした。昨年度中に5報執筆し、2報掲載され、3報投稿中である。また、8月~9月にかけて2週間ほど渡航し、現地で水利組織に関する情報収集を行った。2018年8月の滞在中に農民組織が運営するレボルビングファンドで組織の長とその周辺の人々による資金の横領が発覚し、捜査が行われることになったが、その後の経過に関する情報を得に行いき、経年でデータをとっている質問票調査を行った。レボルビングファンドは地域の農民が稲作を開始する際に、トラクター代や賃労働費、肥料代などの費用を適切な時期に十分確保するために貸し付けを行う役割を果たしてきた。設立当初農民組織が運営するレボルビングファンドには6000万Kshもの資金が与えられ、農民がコメを販売して資金を返すたびに年率8%の利子を支払っていたにもかかわらず、プールされていたはずの資金は組織の長によって横領され、消えてしまい、運営が立ち行かなくなっていた。2019年の稲作も農民は自己資金で稲作を行わざるおえなかったという。稲作地域の農民からはかなり不満の声が聴かれた。組織の長は逮捕され、裁判を待っている状態にあった。日本ではコミュニティに害を加えた個人は村八分等で制裁が加えられるが、アフリカではこういった個人に制裁が加えられることはないという。ここでも稲作地域は血縁関係のある者どうしで成り立っているため、個人的な制裁は加えられないという。地域の人々は組織の長に非常に不利益を与えられながらも自分たちの身内であるということで我慢し、不自由な中で稲作を続けていた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

対象としてきたケニアの稲作地域での調査が10年経過することになり、最終年に報告書をまとめたいと考えている。調査はおおむね順調に進み、対象としてきた稲作地域の水利の実態と問題、稲作技術、コメの販売の実態と問題に関してはおおむねわかってきた。また、一事例ではあるが、稲作農民の生業全体を把握する調査も行った。稲作農民の生業の全体の中での稲作の役割を把握する調査の必要性は感じているが、それは稲作とは少し離れるので別のテーマで行いたいと考えている。やや遅れているとした理由は、投稿論文の掲載までに時間がかかることが多く、稲作をテーマとした論文を10報前後の掲載に至ったうえで執筆を考えているが、現在のところ、4報しか掲載にいたっていない。もっと適切なジャーナル選びや論文執筆のスキルを磨くことを心がける必要があると考えている。

Strategy for Future Research Activity

今年度は最終年なので、現在執筆している論文も含めすべて前期中に少なくとも執筆を終え投稿し、年度内に掲載に持っていき、報告書をまとめるところまで遂行する。ケニアの現地調査では稲作を農家圃場で実際に自分で行い、農家の人々の関係性や水利組織の水利の実態について詳しく観察をした。こういう内容の報告書はアフリカでは皆無に近い。投稿論文の掲載はもちろん重要で、報告書をまとめられるだけの本数を掲載に持っていくことも重要であると考えるが、クランの土地保有や伝統的な価値観の残る中での水利の問題点等に関する観察結果の記述も重要だと考えており、後期は投稿論文の掲載を図りつつ、報告書のまとめを行っていきたいと考えている。報告書で終わらせるのか、本にまとめるのかはまとめ終えた段階で考えたいと思う。

Causes of Carryover

投稿論文の掲載が遅れており、そのため掲載料の支払いが理由の一つである。また、次年度に報告書あるいは場合によっては本を出版する予定でいたので、そのための資金として確保をした。したがって、次年度にすべて論文掲載および報告書の出版で使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 脱近代化社会の実現に向けた農学および農業技術紙片の在り方2019

    • Author(s)
      山根裕子・伊藤香純
    • Journal Title

      国際開発研究

      Volume: 1 Pages: 39-52

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 人類の食の特徴と食と農業の現代的課題 食料問題の本質を考える2019

    • Author(s)
      山根裕子
    • Journal Title

      農学国際協力(18巻)

      Volume: 18 Pages: 2-17

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2021-01-27  

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