2022 Fiscal Year Annual Research Report
Attempts to elucidate and disseminate the actual conditions of sustainable water management by communities in irrigated rice-growing regions in Africa
Project/Area Number |
18K05845
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山根 裕子 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 国内客員研究員 (70528992)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 稲作 / 東アフリカ / ケニア / タンザニア / 広域調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は広域調査として東アフリカのタンザニアとケニアの稲作地域の稲作を約一か月かけて回り情報収集した。タンザニアとケニアでは稲作の形態が大きく異なっている。タンザニアでは天水田や氾濫原での稲作が多く、ケニアでは潅漑条件下での稲作が多い。その両方の地域を見て回り、東アフリカの多様な稲作の形態について実際の稲作の現場に出向き情報収集した。 また、日本熱帯農業学会で学会発表(2回)した。ケニア西部の稲作地域における稲作農民の家計調査に関して、コメの販売による所得よりも他の農外収入の方が世帯の収入源として大きい割合を占めていることや稲作を中心とした賃労働収入の方が対象とした世帯の場合多いことを示した。さらに、食事日誌の結果からコメをほとんど食べておらす、賃労働や農外収入で得た現金でトウモロコシをはじめとする食料を購入して食べている実態があることが分かった。アフリカでは稲は農家にとって商品作物であり、食料として重要でないといわれているが、それを具体的なデータで示した。 2回目の発表ではケニア、タンザニア、ウガンダの東アフリカ共同体の中心国それぞれの稲作について文献をまとめ、ケニアの稲作やコメの消費の特徴を他の2か国と比較した。ケニアは他の2か国と比べると稲作に適する面積が小さく、コメの輸入量が多い。隣接した国のコメの生産量は急速に伸びており、これらの国からの輸入量の拡大の可能性が見込めると論じた。 学会発表の他に稲作地域の稲作に関して執筆した投稿論文2報がアクセプトされた(一報は未掲載)。その他にアフリカの在来農業の可能性を論じた書籍の分担執筆者として原稿を執筆した『アフリカから農を問い直す: 自然社会の農学を求めて』が出版された。 今年度行った広域調査と東アフリカの稲作に関するレビュー論文をこのあと何報か執筆し、東アフリカの稲作の現状を現場から分析した本を執筆する予定である。
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Research Products
(4 results)