2018 Fiscal Year Research-status Report
食品ロスの削減・再資源化過程における品揃え形成と需給調整に係わる流通論的研究
Project/Area Number |
18K05849
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
杉村 泰彦 琉球大学, 農学部, 准教授 (80405662)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 久綱 三重大学, 人文学部, 教授 (80362333)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 食品ロス / リサイクル飼料 / フードバンク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に使用可能な他の予算の存在、および調査対象の都合から、平成30年度は研究計画の前倒しと、それに伴う先送りが生じた。具体的な実施状況は次の通りである。 フードバンクにおける品揃え形成とその課題について、大規模フードバンクAおよび中小規模フードバンクBおよびCに対して実態調査を実施した。これらは規模の違いはあるものの、概ね品揃えにかかわらず収集できた余剰食品を配付しており、不足している品目は配布対象者と直接に接する支援団体が補完するべきと考えている。しかしその一方で、配布対象者の厚生および子どもであれば食育の観点から、品目の偏りは課題であるとも認識している。 大量の余剰食品を回収できる大規模なフードバンクであっても、品目ごとの過不足の問題は発生しており、食品寄付の規模でこれを解消できるわけではない。小規模なフードバンクであっても、地方の寄付者等とのつながりによって品目の偏りを補正しようとしているケースもある。 ベルギーの食品リサイクル企業D社は、主として食品製造業から余剰食品を受け入れ、乾燥させることでリサイクル飼料を製造している。本社併設のベルギーの北部の他、フランス中部にも工場を稼働させている。これらではベルギー、フランスを中心とした回収および製品の物流コストともに、包装など廃プラスチック処理費用の高騰が課題となっている。 研究分担者は、7月の日本農業市場学会において「自家配合による食品循環資源の飼料利用:需給接合・調整の重層性に注目して」というタイトルで成果の一部を発表した。研究代表者は、日本農業市場学会『農業市場研究』第27巻第4号(印刷中)に「フードバンク活動における食品の収集方式と品揃え形成:フランス バンク・アリマンテールの事例」として成果の一部を発表した。 フランスにおけるフードバンク調査および国内事例の調査については、冒頭の理由で次年度へ持ち越した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の事例調査およびフランスにおける生鮮食品流通に関係するフードバンクの調査については、予算および調査対象の都合等により持ち越したが、次年度以降に予定していたベルギーでの飼料企業調査および国内のフードバンク調査を先行させたため、研究計画に大きな支障は発生していないと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は①欧州フードバンク組織・活動の調査分析、②国内での未利用食品利用の調査分析、③食品ロスの飼料化事例の調査分析の3分野から構成されている。2年目となる令和元年度は、①について、夏期に先送りしたフランスのフードバンク組織への調査を実施する。また冬期にはオランダのフードバンク組織に対する調査を予定しているが、先方の受け入れが難しい場合には翌年度に予定している実態調査を繰り上げる。 ②については、研究代表者が沖縄県内の事例を断続的に調査し、③については三重県内のTMRセンターに対するヒアリング調査を実施する。 夏期のフランスでの調査に係る成果は、年度の後半に論文として投稿する計画である。
|
Causes of Carryover |
当年度に予定していた欧州でのフードバンク組織調査が先送りされ、前倒しとなった欧州でのリサイクル飼料調査については、研究代表者、分担者ともに当年度限りの別の資金で遂行することができた。そこで、国内のフードバンク組織の調査では研究協力者への旅費を支出することができたが、全体としては次年度使用額が生じている。次年度は持ち越しとなった欧州でのフードバンク組織調査に加え、次年度に計画されていた欧州での調査もあることから、次年度使用額はそれらに支出する計画である。 当年度の支出減は計画外であったが、研究をより充実させるという点で、研究計画全体にとっては意味があったと考えている。
|