2020 Fiscal Year Research-status Report
外食産業向け青果物流通システムの機能高度化と再編に関する研究
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18K05851
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
林 芙俊 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (70571107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨子 文恵 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60547214)
齋藤 文信 高崎健康福祉大学, 農学部, 准教授 (40425476)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外食産業 / 野菜商社 / 市場外流通 / 卸売市場 / 加工・業務用青果物 / 流通システム |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の感染拡大により緊急事態宣言が発出されていたことなどから、本年度におこなう予定であったヒアリング調査はほとんど実施できなかった。そのため、有価証券報告書などのデータを用いて分析をおこなった。 その結果、本研究で注目している外食向け大手野菜卸では、COVID-19の問題の元で販売高が6~8割程度に減少しており、営業損益も赤字となっていた。これは主要な取引先であるファミリーレストランをはじめとする外食産業の売上低下にともなうものであると考えられる。これへの対応としては、徹底したコスト削減や、BtoCビジネスへの参入・拡大を図っていた。 ただし、COVID-19のもとでも、これまで提携会社に流通を依存していた地方において新たな事業拠点を開設するなど、全国的・総合的な供給体制の構築という基幹戦略に関係するものについては、着実に投資を行っていることがうかがわれた。 また、外食産業についてはCOVID-19の問題のもとでも1社についてヒアリングを実施することが出来た。当該企業は居酒屋チェーンを経営しているが、焼き肉などの他業態に大きく転換することを検討しており、それにともなって必要な食材も変化する見込みであることが明らかとなった。そのため、新たな産地との取引開始など食材調達体制の再構築を今後は課ってゆくとのことであった。 本年度の研究では、調査対象がCOVID-19の問題の影響を大きく受けたため、その状況を把握することに務めたが、調査の実施が難しかったこともあり、本来の目的である流通システム間の競争構造を明らかにすることは十分には出来なかった。そのため、研究実施機関を延長することにより、研究課題の達成を図ることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間中にCOVID-19の第2波、第3波が到来し、調査先より調査受入を断られたり、県境をまたいだ移動を自粛するなどしたため、必要なヒアリング調査が十分に実施できなかった。本年度は、ヒアリング調査をもとに外食産業の企業戦略を明らかにし、それと青果物調達戦略との関連を考察する予定であったため、十分な調査が実施できなかったことは、研究の遅滞に結びついた。 また、COVID-19の問題は調査対象企業の行動様式や、業界の競争構造にも大きな影響を与えていると考えられるため、研究フレームを再検討する必要も生じたが、この作業も調査が十分に実施できなかったことにより、十分におこなうことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が短期間のうちに収束する可能性は低いと考え、それを前提として調査を推進する方策を検討する。研究分担者が分散した地域にいるため、それぞれの地元・近隣で調査をおこないデータを収集するように努める。これにより、都道府県をまたいだ移動を避けつつ調査を実施する。さらに、Zoomなどのテレビ会議システムを最大限に利用し、送れているデータ収集の推進を図る。 本研究で調査対象としている企業には上場企業も多いため、有価証券報告書などCOVID-19の影響を受けずに収集できるデータを最大限に活用する。 また、外食産業およびそれに食材を供給する流通業者においては、COVID-19の問題は経営に大きな影響を及ぼしており、事業戦略の大幅な転換を図る動きもみられる。これにより、当初の研究フレームでは考察できない実態が生じる可能性がある。このような動向も調査や資料収集により把握し、研究フレームに適宜修正を加える。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、研究期間を延長したため。特に、調査の実施が難しかったために予定していた旅費が使用できず、これを次年度に使用することとした。
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Research Products
(3 results)