2019 Fiscal Year Research-status Report
Character of a conventional farming system in vegetable production in Cambodia
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18K05857
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Research Institution | Institute of Environmental Rehabilitation and Conservation (Research Center) |
Principal Investigator |
寺内 忍 (山田忍) 特定非営利活動法人環境修復保全機構(研究センター), 研究センター, 研究員 (40763800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河邊 久美子 特定非営利活動法人環境修復保全機構(研究センター), 研究センター, 研究員 (70713767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カンボジア / 多重対応分析 / カテゴリカル主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の分析対象国であるカンボジア農業の中心は、稲作生産にあるが、農村における貧困問題の解決に向けて、商品作物としての畑作物生産の持続的な発展は必要不可欠な条件である。しかしながら、現状での農村地域の状況としては、従来通りの米生産を志向する地元農家が依然多く存在する中で、野菜、果樹を複合的に生産する農家も少なくない。農村地域における貧困問題を改善するためには、将来的に需要が増加すると予想される、米生産を中心としながら、多様な農作物の生産も必要であり、安定的、持続可能な農業経営を構築することが不可欠である。このような背景の下で、令和元年度(2019)においては、地元農家のアンケート調査から得られたデータに基づき、地域の農業経営の特徴と地元農家が必要としている安定的、持続可能な農業経営を構築に向けた農業生産情報の関連性に関して定量的な分析を試みた。 分析結果は以下のように要約される。第1に、多重対応分析の結果に基づけば、地元農家が必要とする農業生産情報は、経営規模、性別、年齢によって異なることが明らかとなった。第2に、カテゴリカル主成分分析を援用し、野菜生産の開発に対する意識と地元農家が必要とする農業経営情報との関連性が明らかとなった。分析の結果から、カンボジアの野菜生産の発展に向けては、各地域の地元農家の農業経営の発展段階に適応した情報と技術を提供することが重要であると結論付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は概ね順調に進捗していると判断した。令和元年度(2019)においては、平成30年度(2018)に実施した、ヒアリング調査及び、アンケート調査のデータに基づき、分析対象地域における農業生産の諸指標を用いて、地域の農業経営の特徴と地元農家が必要としている農業生産情報の関連性に関して定量的に把握した。 分析対象地域は、カンボジアのコンポンチャム州の10地区である。分析の結果から、農業経営の改善に必要な情報の指標は、地域によって異なることが確認された。また、農業経営の成果とみなされる作付(経営)面積と農業収入に対して、いかなる属性、作目、農業経営の改善に必要な情報等の要因が影響しているのか分析を試みた。作付(経営)面積に対しては、属性としては学歴と米生産の有無が、農業情報としては、収穫に関する情報がそれぞれ影響を及ぼし、米生産の規模拡大を志向する要因が影響している。また、農業収入に対しては、属性としては性別が、農業情報としては新しい農業技術情報、有機肥料に関する情報、トレーニングに関する情報がそれぞれ影響を及ぼし、高品質な農作物生産を志向する要因が影響している。なお、野菜生産の有無については、差異が見られなかった。分析の結果から、カンボジアにおける、「米+野菜」の複合経営の拡大は、米の生産を拡大し、地元農家の農業技術のスキルを向上させるという条件の下にあることが示唆された。 ここで得られた成果とまとめたものとして、2020年2月29日に、カンボジア王国シェムリアップで開催された、The 11th International Conference on Environmental and Rural Developmentにおいて、ポスター報告を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度における研究の推進方策については、令和元年度及び令和2年度で得られた知見を踏まえ、最終的な分析及びその集約を行う。最終的な分析及びその集約を行う。具体的には、慣行型農耕システムの特徴が、土地節約型、流動資本財(経常投入財)集約型生産技術であることから生産要素間の代替関係から生物学的・科学的技術を重視し、BC技術生産関数を計測することにより、要素結合構造の把握と生産性格差を確認することである。さらに加えて、確立的フロンティア分析等を適用し、BC技術生産関数の計測結果に基づき、BC技術生産効率格差を定義し、その効率格差と土壌肥沃度、土壌流出度等の耕地属性指標がいかなる関係を有するのかを把握することである。 最終年度においては、これまでの分析から得られた知見を集約し総括する。カンボジアにおいて今後も自然と調和し、環境に負荷を及ぼさない環境保全型農耕システム確立に向けて、耕作方法の試行や野菜生産農家に対する支援のあり方について言及する予定である。
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Research Products
(1 results)