2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis and Valuation Basis Construction of the Performance of Rural Economy Diversification: Application of QOL Concept
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18K05859
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (60334174)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | QOL / 農村多角化 / 社会生活指標 / 農村生活 / 健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に実施した研究の内容は、1)農村QOLに関する研究レビューと、2)QOL指標を構築するためのデータ収集法の把握および調査設計である。 1)農業および農村を対象としたQOL研究の変遷をレビューした。かつては農村生活研究にてQOLにほぼ相当する生活の満足度や農業労働の疲弊度に関する研究が蓄積されていたが、近年は低調である。次に農村住民を対象とした健康関連QOL研究は国内外ともに膨大な研究蓄積がある。しかしこれらは総じて、農業・農村生活に関する諸指標を説明変数として健康QOLを定量的に解明するものであり、農業・農村QOLの実態解明にはなっているがそれを規定する要因を解明しようとしていない。また、農村はじめ地域社会を単位とした生活水準や社会資本を数値化し統合的なQOL指標を構築する研究も1970~90年頃までは盛んに行われていたが、過度の一般化に対する批判を受け、急速に研究例は減少している。 2)農村多角化活動が盛んな地域における社会生活指標と経済成果指標の把握とデータ収集に着手した。近年、自治体の実務でも活用されているRESAS(内閣府)および地域の農業を見て・知って・活かすDB(農林水産省)を活用すれば、市町村レベルで詳細な社会経済・生活指標を入手できることを確認した。RESASにより社会経済指標を、農水省DBにより農村経済多角化に関する指標の収集・整理に着手した。また、特定の多角化活動に従事している農業者を対象とした個人レベルの多角化活動実態および生活満足度調査の設計を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献レビューはほぼ終了し、客観的指標を把握・収集するためのデータベース利用の目処もついた。調査候補地の客観的データ(統計指標中心)の収集・整理は進んでいる。 一方、多角化活動の実態調査を行う候補地の選定には着手したものの、最終的な了承を得られていない。そのため、農業者個人を対象とした多角化経済活動(生活満足度など主観的QOL関連事項も含む)の調査票を最終確定させることができなかった。また今年度は、学内の校務の関係上、1週間以上の海外出張を組めなかったため、国際比較の対象地として想定してるタイ農村部の調査のための打ち合わせができなかった。 総合的に評価すれば、やや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の遅れを回復させるため、第2年度では以下の諸点に取り組む。 1)国内調査地を確定させ、その地域の取り組み状況をふまえたミクロレベル調査票(主観的評価も含む)を完成させる。そのうえで現地の研究協力者と連携して質問紙調査を実施し、その集計と分析を行って、多角化活動の経済成果と農業者の主観的QOL水準の比較を行う。 2)対象地における社会経済指標をRESAS、農水省DBも活用して収集し、客観的QOL指標を構築する。 3)主観的QOLと客観的QOLの分析結果を比較し、両分析手法の長所と短所を確認する。 4)海外比較対象の候補地であるタイ農村部の予備調査を行う。研究協力者(カセサート大学教員)の助力を得て、タイで活発なOTOP(一村一品)運動の実践地を選び、活動の概況を把握するとともに、農家単位の調査の可能性を検討する。可能な場合は調査票の設計を行うが、調査は最終年度に行うことになる。
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Causes of Carryover |
平成30年度は、海外での研究打ち合わせおよび調査を実施できなかったので、結果的に旅費の使用額が当初予定を大きく下回った。第2年度は海外調査も行う予定であるし、国内調査地へも複数回出向くことが想定されるため、最終的には当初想定したレベルまで研究費を使用することになると予想される。
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