2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の食意識・食行動・食事満足度に関する都市・農漁村の比較
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18K05865
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 章 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50346376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食事満足度 / 食意識 / 倫理的消費 / 生活満足度 / コロナ / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
NHK放送文化研究所「食生活に関する世論調査,2016」の個票データ(65歳以上の高齢者649名)を用いて高齢者の食事満足度と食意識に関する定量分析を行った。その結果,1)男性の方が女性よりも若干ながら食事満足度が高い一方で,食意識に関しては女性の方が高いこと,2)男女ともに独居高齢者の食事満足度が最も低いこと,3)家族と同居している高齢者であっても,孤食頻度の高い高齢者は性別に関係なく食事満足度・食意識が低いこと,4)食費が家計の負担になっていると感じていない高齢者ほど食事満足度が高いこと,5)男性の独居高齢者は欠食や栄養バランスに気をつけていない確率が高く,出来合い・弁当やインスタント食品への依存度が高いこと,6)人口5万人未満の市町村に居住する高齢者は,食意識が有意に低い可能性があることが明らかとなった。 つぎに,食にかかわる倫理的消費について,独自調査の個票データ(関東圏に居住する20歳以上の成人600名)を用いてカテゴリカル共分散構造分析を行った。その結果,1)倫理的消費に関する情報量・印象・意見,環境意識,食習慣などの因子が成人の倫理的消費行動に影響を及ぼしていること,2)高齢者は若年層・中年層と比較して倫理的消費行動をとる傾向にあること,3)前記2)の背景として,高齢者の場合,特に環境意識と食習慣の因子の影響が大きいこと,を指摘した。 また内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」の第1回と第2回調査を用いて,日常生活に関する生活満足度について混合効果モデルを用いて分析を行った。その結果,高齢者の満足度は,感染症拡大初期に他の年齢層よりも大きく低下したものの,第1波終息後には感染拡大前の水準までほぼ回復していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの感染状況から,高齢者を対象とした聞き取り調査は遅れ気味である。しかし,独自に実施したアンケート調査やNHK放送文化研究所および内閣府が実施した調査の個票データを用いた定量分析を行い,Web of Scienceに収録されている英文学術誌に2報の論文が受理された。さらに,複数の研究成果を学術誌に投稿中であることから,研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者に対する聞き取り調査や主に農漁村におけるアンケート調査のデータを用いて分析を進め,研究成果を複数の英文学術誌に投稿すると同時に本研究のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
コロナの感染拡大もあって高齢者を対象とした調査を実施することが難しく,結果的に調査費およびデータ入力にかかる人件費として支出を予定していた研究費を次年度に繰り越すこととした。すでに調査方法を見直したうえで高齢者に対するアンケート調査を実施予定であり,その調査の費用として繰越金を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)