2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の食意識・食行動・食事満足度に関する都市・農漁村の比較
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18K05865
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 章 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50346376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 和食文化 / 次世代継承 / 郷土料理 / 食事作法 |
Outline of Annual Research Achievements |
和食文化は2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されるなど世界的に注目を集めているが,次世代に十分に継承されずその特色が失われつつある。しかし,全国規模で実施された調査データを用いて行事食の喫食頻度に影響を及ぼす要因を検討した研究は限られている。そこで,全国規模で実施されたNHK放送文化研究所「食生活に関する世論調査,2016」の個票データを用いて,行事食の喫食頻度の規定要因について定量的に分析することを目的とした。多変量プロビットモデルを用いた定量分析の結果,行事食の喫食回数が多い成人は,女性であること,家族と同居・共食していること,世帯年収は700万円以上であること,中・高齢者であること,子ども時代に親との調理頻度が高いこと,健康状態が良好であること,食生活に関する満足度が高いこと,農村部と比較して大阪などの都市部に居住していることが明らかとなった。 次に,農林水産省「令和元年度 食育に関する意識調査」の個票データを用いて,伝統料理や食事作法の継承に関する定量分析を行った。その結果,伝統料理や食事作法を継承している確率が高いのは,女性,中高齢者,子どもの頃に良好な食生活を送っていた者,人口規模が最も小さい町村に居住している者であることが明らかとなった。さらに,伝統料理や食事作法を継承している者のうち,次世代にこれらを伝えたいと思っているのは,女性,中高齢者,15歳未満の子供や孫と同居している者,食意識が高い者であることが明らかとなった。 以上を総じてみれば,1)喫食比率を比較すると,行事食は都市部で高く,郷土料理は農村部で高いこと,2)中高齢者は行事食の喫食比率が高く,伝統料理や食事作法の次世代継承にも積極的であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染症の影響で予定していたとおりに調査が実施できなかったが,かわりに既存のデータを用いた定量分析を行うことによって概ね順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査データを用いた定量分析を行うことによって,研究成果のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
年度内に投稿を予定していた原稿に執筆に時間がかかり,当初予定していた英文校閲の作業依頼ができなかった結果,校閲費および投稿・掲載料の支出を次年度に繰り越すこととした。
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