2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の食意識・食行動・食事満足度に関する都市・農漁村の比較
Project/Area Number |
18K05865
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 章 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50346376)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 行事食 / 食文化の継承意向 / 共分散構造分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統的な行事食は日本固有の和食文化の重要な構成要素であるが,若年層を中心にその喫食率は低下傾向にあると指摘されている。全国規模で独自に実施したインターネット調査(対象者数2000人)の個票データに共分散構造分析を適用することによって,とくに子ども期の食経験に着目しつつ行事食の継承意向・喫食頻度・イメージに影響を及ぼす要因を定量的に検討することを目的とした。 対応のあるt検定と効果量の推定値から,分析対象とした18行事食のうち,子ども時代と比較して喫食頻度が増加したのは節分の恵方巻きであった。これに対して,おせち料理,正月の雑煮,節分の福豆,節分のひなあられ,節句の柏餅・ちまき,彼岸のおはぎ・ぼたもちは喫食頻度が有意に減少していた。 カテゴリカル共分散構造分析による推定結果から,性別・年代の個人属性,現在の経済状況,子ども時代の経済状況や食卓環境が行事食の喫食頻度・次世代への継承意向と行事食に対するイメージに影響を及ぼすことが明らかとなった。より具体的には,1)女性,2)中高齢者,3)現在の経済状況が良好な者,4)子ども時代の経済状況が良好であった者,5)子ども時代の食卓環境が良好であった者ほど,行事食の喫食頻度が高く次世代への継承意向と行事食に対する良好なイメージを有していると考えられる。しかし,核家族化の進展などによる家族構成の変化もあって,行事食の継承意向が相対的に高くかつ行事食の喫食頻度も高い高齢者から若年者への継承が家庭内で円滑に行われなくなってきており,家庭外での継承プログラムの強化(例えば学校給食等を通じた行事食の普及)が必要であることを指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施した調査データを用いて論文を執筆し,学術誌に投稿することができたことから,研究は概ね順調に進捗しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに手元にある調査データなどを用いて分析を行い,研究のとりまとめを行う。
|
Causes of Carryover |
繰越額に関しては,現在執筆中の投稿用論文を作成する際に必要な消耗品として使用する予定である。
|