2021 Fiscal Year Research-status Report
集落営農広域連携による資源循環型農業と地域貢献活動の持続性:中山間地域を中心に
Project/Area Number |
18K05866
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
井上 憲一 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (60391398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保永 展利 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (80574061)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 集落営農 / 広域連携 / 資源循環型農業 / 地域貢献活動 / 中山間地域 / 農業集落 / 広域的集落協定 / 広域的住民自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中山間地域において事業形態の異なる複数の集落営農広域連携組織を対象に、複数年にわたる聞き取り調査、作業・労務データ収集および作業者・利用者へのアンケート調査を行い、資源循環型農業と地域貢献活動の事業形態と規模を把握し、両者の相互作用を明らかにすることを通じて、これらの持続性を実証的に検討する。 本年度は、集落営農広域連携組織に関する調査項目・測定指標をもとに、現地調査とデータ分析を継続実施し、成果の一部を公表した。主な実績は次の3点である。第1は、集落営農組織の地域貢献活動について検討した。第2は、集落営農組織の組織文化と経営戦略について検討した。第3は、肉用牛経営と集落営農組織との広域連携の課題と対応について検討した。 第1は、山陰地域の農地保全における農地中間管理機構の役割や各地区における人・農地プランの作成・公表状況の質的データに基づいたテキストマイニングを行い、条件不利地域における住民の農地保全性向を明らかにした。また、島根県飯南町のさつまいも生産・加工・販売によるコミュニティ・ビジネスにおける集落営農組織のネットワーク形成について明らかにした。さらに、島根県益田市真砂地区や比田地区などの実態調査から、中山間地域で展開されている小さな拠点づくりにおける集落の農地利用や住民による食品加工製造、住民ネットワークの現状と課題についても定性的に分析した。 第2は,これまで継続的に調査してきた島根県内での調査結果と先行研究のサーベィをふまえて、集落営農広域連携における組織文化と経営戦略の関係性を、経営政策、地域性および地域貢献性の視点から明らかにした。 第3は、肉用牛経営と集落営農組織による広域的な耕畜連携システムの課題と対応について、他の肉用牛経営類型との比較検討を通して、牛の飼育技術と生産過程における経営の自己完結性に基づく類型化をもとに定性的に分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
残された研究成果について雑誌論文ならびに学会発表で公表し、研究計画の取り組みがおおむね達成されたため。ただし、コロナ禍の制約により、十分な現地補足調査などが延期となるなど、一部の計画が持ち越された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も集落営農組織ならびに中山間地域の住民との連携を図りつつ、現地調査を継続し、理論の一般化に向けて分析を進め、研究全体の成果の取りまとめを行う予定である。研究代表者の成果の一部は市販図書において、研究分担者の成果の一部はSpringerの出版物シリーズNew Frontiers in Regional Science: Asian-Perspectivesにおいて公表の予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に伴う現地調査の一部延期と、参加予定の学会大会の全オンライン開催により、旅費ならびに調査経費の残額が生じた。 次年度は、各種現地調査の実施、調査結果の最終取りまとめに対して必要な諸経費を適切かつ有効に使用する予定である。
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