2019 Fiscal Year Research-status Report
改正農協法下での広域JAのガバナンスの課題に関する研究
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18K05869
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 元 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (40762779)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土着型ガバナンス / 認定農業者 / アクティブメンバーシップ / 准組合員 / 支店運営員会 / 組合員教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、全国農業協同組合中央会のヒアリングを中心として、農協法改正下でのJAのガバナンスの変化を調査研究した。 JAのガバナンスは、実際にJAを運営する①総会(総代会)→理事会(経営管理員会)→常勤理事という基本のルート(基本システム)と、②組合員による利用者懇談会、支店運営員会、組合員組織の会合など基本システムを補完するサブのルート(サブシステム)から構成されることがわかった。 基本システムは、農協法が改正された現在も、集落を基礎とする従前の土着型ガバナンスと変化はない。ただし、改正農協法の役員規定の改正に伴い、全国のJAの役員構成が変化し、認定農業者の割合が増加している。しかし、この認定農業者の理事者の選出プロセスは、依然として地区選出という土着型ガバナンスを基盤としている。 サブシステムは、支店運営員会など組合員参加型の仕組みが拡がりつつある。これは、第28回JA全国大会で提起された「アクティブメンバーシップ」の取り組みに組み込まれ、ガバナンスシステムというより、JAの組合員対応としての教育文化活動の領域に整理される。さらに、ガバナンスシステムとしての支店運営員会は、活動を行う支店ふれあい委員会へと変化している事例が多くみられ、その性格は変化しつつある。 サブシステムとして、新しい取り組みも広がっている。それは准組合員への対応であり、准組合員のJA運営への意志反映の仕組みとしてモニター制度や利用者懇談会などの取り組みが広がっている。また、ガバナンスの基礎として、組合員教育が広がりを見せつつあり、JAでは組合員大学などの教育機会が拡がっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国段階の動向、および基礎的調査はおおむね終了した。ただし、2020年2月と3月に予定していたJAの事例調査が、コロナウィルスの影響により、1事例を除いてすべて中止となった(当初予定6JAのうち、1JAのみ調査済み)。
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Strategy for Future Research Activity |
広域JAにおけるガバナンスシステムの変化の全体像の把握は終了し、研究のアウトラインはおおむね完成した。今年度は、昨年度コロナウィルスの影響で中止となった事例調査を行うことで、研究成果の実証のための補強を行う。 その上で、研究成果を整理し、学会報告・論文作成など研究成果の公表を進める。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の影響により、2020年1月~3月に予定していた事例調査5件が中止となったため、次年度使用額が生じた。令和2年度に、調査費用(旅費および資料の購入)として使用する。 令和2年度は、5件の事例調査(8月~11月:旅費@120,000円×5件)を実施する。また、調査対象の資料代として(@20,000×5件)、使用する。
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