2018 Fiscal Year Research-status Report
たわんだ管に作用する内水圧の真円復元効果に関する研究
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18K05878
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石井 将幸 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (50293965)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 真円復元効果 / 内水圧 / たわんだ管 / 数値解析 / 理論解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
たわんだ管に内水圧が作用する状況を近似する目的で,A)楕円管に等方な内水圧が作用するモデル と,B)真円管に直交異方な内水圧が作用するモデル の2つについて検討した。フレーム解析などの数値解析ではどちらのモデルに基づいた解析も実施可能であるが,モデルB)では梁理論や曲がり梁理論に基づいた理論解析も可能である。またモデルA)が実際の管と類似性を持つことは明らかであるが,モデルB)の妥当性は明らかではない。 そこで,モデルA)の長軸長と短軸長の比とモデルB)の卓越水圧比(水圧が大きい方向の水圧と,小さい方向の水圧の比)を揃えた解析の結果を比較することで,両モデルに同等性があるかについて調べた。管の厚さが内径と比べて無視できる状況を想定し,楕円管を多角形で近似した線部材によるフレーム解析で,モデルA)に基づく各部位の断面力(軸力と曲げモーメント)を求めた。なおせん断力を対象から除外しているのは,フレーム解析においては分布荷重である内水圧を節点への集中荷重に変換するため,分布荷重のままとするモデルB)の理論式と比較が困難なためである。続いてモデルB)についての理論解析を行なって,断面力を求める式を得た。両者を比較したところ,1)フレーム解析の要素分割が細かい場合,軸力の値は両モデルでほぼ完全に一致する,2)曲げモーメントの値には差が生じるが,その差には規則性があり,補正を行なうことで両モデルの値をほぼ完全に一致させることができる,という結果が得られた。 以上より,補正を行なったモデルB)によってモデルA)の代替できることが明らかになるとともに,理論式を用いた解析が実施可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,理論式,数値解析,外水圧実験の3つを組み合わせることによって,たわんだ管に作用する内水圧の真円復元効果の大きさを明らかにすることを目的としている。現在までに実験を行なうことはできていないが,薄い管については2つの計算手法の同等性を明らかにすることができた。本年度に実施する実験結果と計算結果を比較することによって,計算手法の妥当性が評価できることから,概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,まず楕円管の供試体を作成し,これに外圧を作用させることで管が偏平化する現象を観察する実験を行なう。これは内水圧による真円復元効果の逆の現象であり,材料の弾性域においては符号のみが異なる現象とみなせるものである。3Dプリンターを使って様々な偏平率と管厚の供試体を作成し,実験を実施する。 実験結果に基づいて,前年度に作成した解析モデルの妥当性を判断する。パイプラインに用いられている管は内径に比べて管厚が小さく,曲がり梁の理論において薄い管とみなし得ることが知られている。このような管には作成した解析モデルの親和性が高いと考えられる一方,機械工学で用いられている曲がり管には管厚が大きいものがあり,本解析モデルをそのまま適用できるかは不明である。厚い管に対する実験結果を検討することによって,管厚を無視した解析モデルの適用性と適用限界を明らかにし,また必要な管厚補正を定式化することを目指す。
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Causes of Carryover |
解析モデルの確立を優先し,費用が必要な実験を2年目に回したため,次年度使用額が生じた。本年度はこの残金を充当して,楕円管供試体に外水圧を作用させて偏平化を起こす実験を実施する。
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