2020 Fiscal Year Research-status Report
たわんだ管に作用する内水圧の真円復元効果に関する研究
Project/Area Number |
18K05878
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
石井 将幸 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (50293965)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パイプライン / 内水圧 / たわみ / 復元 / とう性管 |
Outline of Annual Research Achievements |
農業用パイプラインに用いられる管には,破壊時までほとんど変形しない不とう性管(剛性管)と,たわむことが可能なとう性管(たわみ性管)がある。とう性管では埋設作業による変形が避けられないため,設計基準では内径の5%までたわんだ状態での使用が認められている。 たわんだ管の多くは内側から水圧が作用する状態で使用されているが,この内水圧には管を真円状に膨らませようとする作用がある。そのため,とう性管は水圧の変動によって,たわんだ状態と真円に近い状態を行き来し,複雑な応力履歴を生じている可能性が考えられる。本研究では,内水圧による真円復元効果を定量的に評価することを最終的な目的とし,実験と数値解析による基本的な現象の確認を行った。 まず3Dプリンタで,扁平の度合いの異なる楕円管の供試体を作成した。防水処置とひずみげーちの貼り付けを行った後,この供試体に内水圧の逆の荷重である外水圧を作用させた。その結果,長軸端では引張ひずみが,短軸端では圧縮ひずみが生じた。外水圧で生じる断面方向の軸力は全体的に圧縮であるため,引張ひずみは曲げ変形が生じなければ発生しない。長軸端では外側を引張とする曲げ,つまり楕円を押しつぶすような変形が生じていることが確認された。これにより,内水圧では押しつぶす変形とは逆の変形,つまり断面を真円に戻す変形が生じることが確認された。 この実験で得られた結果をFEM解析と比較した。水圧の小さい領域では長軸端と短軸端の両方でひずみがおおむね一致したが,ひずみの計算結果にはかなりのメッシュ依存性がみられた。実験結果と直接的な比較が可能な計算結果が得られているかについては,まだ検討が必要な状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目標としていた「楕円形の管が内圧を受けた際の断面力と応力を求める理論式の作成」,「数値解析による理論式の検証」,「楕円管に外圧を作用させた実験による解析結果の検証」が完了した。目標を順調に達成することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果の整理が完了していないため,これを通して最も重要である理論式の精度を確認し,適用限界を明らかにする。これによって,実務におけるとう性管の設計と維持管理に利用が可能な知見と構築し,広く公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの拡大によってシンポジウムの開催が控えられ,研究成果を公表する機会が失われた。状況が大きく変わったわけではないが,次年度使用額を利用した研究成果の公表を計画している。
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Research Products
(1 results)