2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Proposition for Optimal Management of Reservoir environment : Deveropment of Eco-hydrodynamic Model for small water bodies
Project/Area Number |
18K05881
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
齋 幸治 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (30516117)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ため池 / 水環境 / 水生植物 / 水理環境 / 航空写真 / 外来種 |
Outline of Annual Research Achievements |
高知県内の農業用ため池を対象に,浮遊植物(ホテイアオイ)と浮葉植物(ヒシ)の季節的消長・空間分布特性について,ドローンによる航空写真解析により定量的に検討した。さらに,それらの植生が流れ場に与える影響を検討するため,植生下における水理量の観測を行った。その結果,春季から夏季における池内の植生構成は,気象条件等の影響を受けて,年ごとに大きな違いを示した。とくに,2020年においては,前年の同時期と比較して急激にホテイアオイの表面被覆率が増加した。これは,2019年の冬季の気温が比較的高かったことが原因と考えられ,同水域におけるホテイアオイの繁茂には越冬個体の栄養繁殖が大きく影響することが推測された。植生下の流速については,ホテイアオイ,ヒシともに風の摩擦の影響が強く抑えられ,水深方向の流速勾配も小さかった。池内全域の乱れエネルギーの分布について検討した結果,春季から秋季にかけては池の北東部,冬季は南部で特に乱れエネルギーが小さくなっており,北東部ではヒシ,南部ではホテイアオイが流れ場を支配する要因であると考えられた。乱れエネルギーと強熱減量の関係について検討した結果,長期的に植生被覆率の高い地点では底質の強熱減量も高い数値を示すことが分かった。 また,同水域における浮遊植物の異常な増殖速度の要因について,栄養繁殖・種子繁殖の両面から検討した。水域内全域にわたる底質調査の結果,年間最もホテイアオイによる水面被覆率の高い池南岸付近において,底質中の植物体沈降・堆積率が高く,同地点において土壌種子シードバンクが形成されている可能性が高いことが示唆された。また,高知県の気象条件とホテイアオイの生態学的越冬条件を照らし合わせて,同植物が対象水域において越冬する可能性が高いことを示した。
|