2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of causes of decrease in spring water volume of the Kogane River and measures to restore discharge for conservation of Suizenjinori(Aphanothece sacrum (Sur.) Okada)
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18K05882
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 智之 九州大学, 農学研究院, 助教 (00549123)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スイゼンジノリ / 湧水 / 生物保全 / 太陽光発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度までの結果により,太陽光発電の活用よって保全活動の課題であるポンプ運転費用を節減でき,スイゼンジノリの持続的保全に貢献できる可能性が示唆された.2022年度では,より詳細なモデル解析を行うため,現地に日射計を設置し,太陽光発電によるポンプ運転費用の削減効果を定量的に解析した. 研究期間全体を通しては,当初設定した3課題のうち,課題①「黄金川湧水量の減少原因の解明」については,文献調査等により圃場整備後の水路系統や土地利用変化によって地下水動態が変化したことで黄金川の湧水量が減少したとの結論を得た.課題②「周辺農地からの排水による黄金川の流量確保の検討」については,流量と水質の現地観測を実施した.その結果,流量面では非灌漑期であっても黄金川の不足流量を周辺農地からの排水で補給できることがわかった.一方で,上流からの排水と黄金川の水では水質で大きな差があるため,排水を直接黄金川に導入することは難しいことが明らかになった.課題③「周辺水田域の冬期湛水による湧水回復の検討」については,ドローンによって黄金川周辺農地の湛水状況の経日変化を把握し,地下水位変動との関係を調べた.その結果,黄金川の湧水は広範な農地からの浸出水であり,仮に冬期湛水を実施する場合には周辺農地の裏作への補償が発生するため,現在のポンプによる流量確保が現状ではもっとも合理的な対応であるという結論に至った. そこで,黄金川近傍に太陽光パネルを設置し,得られた電力をポンプ運転に利用し,余剰電力を売電するポンプ運転費の節減対策を検討した.その結果,1 ha以下の用地に太陽光パネルを設置することで初期設置費用を含むコストを回収できると推定された.ただし,地元住民へのアンケート調査の結果,黄金川は景観としての価値も高く評価されているため,太陽光パネル設置に際してはその点にも配慮し,地元住民の合意を得る必要がある.
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