2019 Fiscal Year Research-status Report
ステンレス製鋼スラグを利用した環境保全型コンクリートであるジオポリマーの開発
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18K05884
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
近藤 文義 佐賀大学, 全学教育機構, 教授 (60253811)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジオポリマー / フライアッシュ / ステンレス製綱スラグ / 圧縮強度 / 自硬性 / 水和反応 / 脱水縮重合反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、セメント系材料の代替となり得る新しいリサイクル材料として盛んに研究が行われているジオポリマーのベースとなるフィラー材料は、石炭火力発電所から排出されるフライアッシュである。2019年度においては、フライアッシュとは異なり、自硬性を有するフィラー材料であるステンレス製鋼スラグとフライアッシュを混合したジオポリマーの強度特性について実験的に検討した。 フィラー材料として、先ずはスラグのみを使用したスラグ・ジオポリマーの場合、材齢(d)14日で圧縮強度は最大値を示し、それ以降は低下した。また、圧縮強度自体も低く、材齢14日での平均値は約5,500kPaであり、同一条件下でのフライアッシュ・ジオポリマーの圧縮強度(約14,000kPa)の半分にも及ばなかった。著者らは既往の研究でフライアッシュにCa分が多く含まれるジオポリマーの場合、硬化後の供試体表面に白華(エフロレッセンス)が発生する傾向があることを確認しているが、スラグのみをフィラー材料としたジオポリマーの場合も同様の結果が認められた。しかし、ジオポリマーの強度低下と白華との関わりについては未解明の問題であるため、今後検討していきたい。一方、スラグの半量をフライアッシュ置換した混合ジオポリマーの場合、材齢経過と共に圧縮強度は増加し、材齢28日で約36,000kPaを示した。この値は、同一条件下でのフライアッシュ・ジオポリマーの圧縮強度(約15,000kPa)の約2倍以上である。混合ジオポリマーの場合、フィラー材料としてスラグおよびフライアッシュをそれぞれ単独で使用した場合よりも顕著な強度発現が明らかとなった。この理由は、Ca成分によるセメントと同様の水和反応およびNa成分によるジオポリマー反応(脱水縮重合反応)の相乗効果による強度発現であると推定されるが、その詳しいメカニズムが不明であるため引き続き検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記した通り、フィラー材料としてスラグのみを使用したスラグ・ジオポリマーの場合、材齢(d)14日以降で圧縮強度は低下し、その圧縮強度自体も低いことを明らかにした。次に、スラグの半量をフライアッシュ置換した混合ジオポリマーの場合、フィラー材料としてスラグおよびフライアッシュをそれぞれ単独で使用した場合よりも顕著な強度発現を明らかにした点においては進捗状況は良好である。現在、この理由について、Ca成分によるセメントと同様の水和反応およびNa成分によるジオポリマー反応(脱水縮重合反応)の相乗効果による強度発現であると推定しているが、そのメカニズムの詳細は不明である。また、現在までジオポリマーの圧縮強度特性を中心に検討を行っているが、引張および曲げ強度特性を考察するためのデータが十分には得られていないため、引き続き検討していきたいと考えている。なお、ここに記した成果は、令和元年度農業農村工学会九州沖縄支部大会講演会にて発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、ジオポリマーの強度特性について、圧縮試験だけでなく割裂引張試験および曲げ試験も行い、セメントペーストやモルタルとの強度特性の比較を行う。特に、ジオポリマーの建設材料としての性能評価においては、圧縮強度だけでなく引張強度および曲げ特性を明らかにすることが不可欠である。次に、農業用土水路(クリーク)やため池浚渫土について、フライアッシュ・スラグ混合ジオポリマーを使用した配合試験を行い、セメント系や石灰系の固化材を使用した場合の結果と比較検討する。これについては、強度の面だけでなく流動性についても検討し、固化処理を行う場合の最適配合量を決定する。特に、申請者らのこれまでの研究成果から、フライアッシュのみをフィラー材料としたジオポリマーを地盤改良材として用いる場合、一定の強度を得るための添加量はセメントと比較して多くなることが明らかになっている。地盤改良材の添加量の増加は建設残土の発生量の増加に繋がる恐れがあるため、最適配合量の決定に際してはこの点を重要視していきたい。実験内容に関しては、ジオポリマー単体の場合と同様に材齢による改良土の圧縮強度の変化を明らかにすると共に、建設残土にもなり得る改良土を有効利用するための等級改善について検討する。研究成果については、農業農村工学会など関連の学会にて発表した上で、学術雑誌に論文として投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度と同様、当該年度も圧縮試験機の保守点検費が特に必要なかったことによるものである。したがって、未使用額は次年度にも継続して必要となる同試験機の保守点検費等の経費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)