2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study on groundwater pumping methods for recovery from salinization caused by the tsunami of the Great East Japan Earthquake
Project/Area Number |
18K05890
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
石田 聡 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究領域長 (30414444)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 地下水 / 塩水化 / 揚水試験 / 回復 / 二重揚水 / パッカー / 津波 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
仙台平野南部における地下水塩水化の回復状況を明らかにするため,宮城県亘理町・山元町の観測用井戸19地点において,塩水域と淡水域の境界部より上部に空気パッカーを設置し,淡水域のみから揚水するパッカー付き揚水装置を用いた揚水試験結果をとりまとめた。パッカー設置深度は7m,揚水深度は3m,揚水量は10L/minとしたが,塩淡境界深度や水位低下量によってはパッカー設置深度・揚水深度・揚水量を調整した。揚水時間はそれぞれ10分間とし,試験中は地下水位,揚水した地下水の水質(ECほか),水温をそれぞれ測定した。結果は以下のとおり。 後背湿地西縁(海岸から4~5km)に位置する4 地点については揚水した地下水のECは70mS/m未満の淡水であった。浜堤列西端から後背湿地(海岸から3km程度)に位置する7地点のうち,淡水域の厚さが0~5mと比較的薄い5地点では殆どの場合,揚水した地下水のECは70mS/mを超えたが,パッカー深度を浅くすると低下した。これらの地点では井戸深度を浅くするほど,低いECの地下水が得られると考えられた。一方,淡水域の厚さが5mを超えていた2地点では揚水した地下水のECは常に70mS/mを下回り,淡水地下水を利用できる可能性が高いと考えられた。浜堤・堤間湿地(海岸から2km以下)に位置する4地点では淡水域の厚さが薄くなり,揚水した地下水のECは平均で70mS/mを超え,パッカー深度を浅くしても低下しなかった。このことは,淡水の揚水が難しいことを示す。調査地南部の3地点では淡水域の厚さが5mに満たないが揚水されたECが平均で70mS/mを下回る地点がある一方,逆の傾向を示す地点も見られ,地下水の回復度は一概には判定しにくかった。全体的な傾向としては,内陸側ほど淡水地下水の利用可能性が高いが,地点毎の相違もかなり見られ,揚水試験による事前確認が必要であると考えられた。
|
Research Products
(2 results)