2020 Fiscal Year Annual Research Report
Damage mechanisms of fill dams induced by nonlinearization of its material during earthquakes
Project/Area Number |
18K05892
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
林田 洋一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (50414454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増川 晋 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 研究領域長 (00414459)
向後 雄二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30414452)
田頭 秀和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (40414221)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 農業用ダム / 地震時挙動 / 振動模型実験 / ひずみ依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、設計で考慮されていない堤体損傷モードの発生要因の一つとして、堤体材料の非線形化に起因する振動モードの時間的・空間的不連続に着目し、現象の発生メカニズムおよび堤体の健全性(機能)への影響を検証した。 2008年岩手・宮城内陸地震時(2008年6月14日8:43)に荒砥沢ダムで観測された波形の分析を行うとともに、同日に観測された18回の地震計測データを分析した。その結果、三成分(上下流、ダム軸、鉛直)ともに天端の加速度が基礎地盤での加速度を下回ったのは本震のみであり、M5.7の余震時(同日9:20)には全ての成分で応答倍率が2程度であったことが分かった。 不飽和土からなるダム堤体模型を対象に4Hzおよび10Hzと周波数の異なるサイン波を入力波とした遠心力場における振動模型実験を実施した結果、両周波数において振幅の増加により堤体の応答特性が変化し、天端での応答倍率が1以下となる事象が再現された。また、1/√2法で求めた天端部での減衰定数は、4 Hz では入力波の振幅の増大により大きく変化したが、10 Hzではほぼ同一の値を示した。このことから、堤体天端部での減衰特性には周波数依存性があることが確認された。なお、これらの実験では加速度応答の増大が堤体変形に直結しない結果となっており、現行の設計体系における課題を明らかにする有益な知見が得られたものと考えている。 数値解析による応答解析を実施し、堤体の応答特性に及ぼす材料の非線形化の影響を検討した結果、天端部での応答倍率は入力加速度の振幅の増大に伴い低下するが、その低下率は設定する減衰定数が小さいほど早い段階で頭打ちとなり、天端での応答加速度が高い値で収束する可能性が示唆された。 これらの結果から、今後の取り組むべき重要な課題の一つとして、未だ十分に解明されていない堤体の減衰特性に関する検討の必要性が改めて認識された。
|
Research Products
(6 results)